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矯正治療は見た目が気になるからと躊躇する方も多いですが、近年、目立ちにくい矯正方法が開発されています。
インビザラインは、透明なマウスピースを装着することで歯を動かす矯正方法です。痛みが生じにくいため、患者さまの負担を軽減できることも特徴でしょう。
裏側矯正は、歯の裏側に装置を装着するワイヤー矯正です。矯正装置は見えません。
「目立ちにくい矯正治療を選択したいけど、インビザラインと裏側矯正どっちがいいの?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
今回は、それぞれの違いを解説しながら、適しているケースをご紹介します。
インビザラインとは?
インビザラインとは、透明なマウスピースを装着して行う矯正治療です。
世界各国で実績があり、2022年9月時点の統計では、世界で1,400万人以上の方が治療を受けています。日本でも、インビザライン矯正を採用している歯科医院は多いです。
インビザライン矯正を受ける場合、治療を開始する前に歯がどのように動くかをシミュレーションします。患者さま自身もシミュレーションを確認できるので、治療内容を理解しやすいことが大きな特徴です。
ワイヤー矯正と比較すると歯にかけられる力が弱く、マウスピースを短期間で交換しながら治療を進めるため、装着時の痛みは少ないとされています。
マウスピースを取り外せるため、ふだんどおり食事や歯磨きを行えることも特徴です。治療中も口腔内を清潔に保ちやすいでしょう。
通院は1~2か月に1回なので、負担が少ないです。部分矯正や、成長期のお子さまの治療も可能です。
裏側矯正とは?
裏側矯正とは、ブラケットやワイヤーを歯の裏側に装着する治療方法を指します。固定式のワイヤー矯正は、従来は歯の表側に装着するものしかありませんでした。
表側矯正でも、透明や白いブラケット・ワイヤーを選択すれば目立ちにくいですが、歯の裏側に装着する裏側矯正のほうが目立ちにくいでしょう。
ただし、裏側矯正は、表側矯正と比較して高い技術力が必要であるため、対応している歯科医院は多くありません。裏側矯正を選択できないことがあるでしょう。
また、治療期間が長くなり、費用も高くなることが多いです。メリットとデメリットを踏まえて選択することが大切です。
インビザラインと裏側矯正の違いを比較
インビザラインと裏側矯正は、どちらも目立ちにくいことから人気があります。どちらを選ぶべきか迷う方もいるのではないでしょうか。
インビザラインと裏側矯正の違いを確認しましょう。
見た目
透明なマウスピースで矯正治療を行うインビザラインと、歯の裏側に装置を装着する裏側矯正は、どちらもあまり目立ちません。
インビザラインは歯の表面もマウスピースで覆われます。裏側矯正は、表側にはまったく何も装着しないので、より目立ちにくいといえるでしょう。
費用
インビザラインは症例に応じて複数のパッケージがあります。全体矯正は700,000~1,200,000円、部分矯正は200,000~500,000円が目安です。
裏側矯正の場合、全体矯正は1,000,000〜1,700,000円、部分矯正は400,000~700,000円が目安です。
同じ症状であれば、インビザラインのほうが費用を抑えられるでしょう。
治療期間
固定式のワイヤー矯正ほうが、矯正力がかからない時間がないため歯の移動が進みやすいです。
しかし、裏側矯正の場合は、表側矯正と比較すると治療期間が長い傾向があります。そのため、治療期間についてはインビザラインと裏側矯正に大きな違いはないでしょう。
虫歯や歯周病のリスク
インビザラインは、食事や歯磨きの際に取り外せるので歯磨きがしやすいです。虫歯や歯周病のリスクが低いことが特徴でしょう。
裏側矯正の場合は、複雑な形状の矯正装置を歯の裏側に装着しているので、歯磨きがしにくく虫歯や歯周病のリスクが高まります。
装着時の痛み
インビザラインであっても、歯を動かすために力をかけるため、装着したばかりのときは痛みを伴います。
裏側矯正のほうが大きな力をかけるため、より痛みが生じやすいです。また、裏側に装置がついているので、口内炎ができることや、舌が痛くなることがあります。
適応症例
ご自身の症状が、希望する治療方法で改善できるのかどうかも重要です。一般的には、マウスピース矯正よりもワイヤー矯正のほうが適応症例が幅広いといわれています。
しかし、最近ではインビザラインでも抜歯を伴う治療方法が確立されるなど、適応症例の幅が広がっています。小児矯正の場合も、インビザラインでの治療が可能です。
ホワイトニング
インビザラインの場合、取り外しができるため矯正治療中でもホワイトニングを受けられます。裏側矯正は固定式のため、矯正治療の最中にホワイトニングは受けられません。
インプラント矯正
インプラント矯正は、顎の骨に小さなスクリューを埋入して歯を大きく動かす方法です。本来は抜歯が必要な症例でも、抜歯せずに治療ができる可能性が高まります。治療期間が短くなることもあります。
インプラント矯正は、インビザラインでも裏側矯正でも対応可能です。
発音
インビザラインのマウスピースを装着したばかりのときは、違和感があって発音しにくいことがあります。裏側矯正の場合も、装置に舌が触れて話にくいと感じることがありますが、どちらも徐々に慣れるでしょう。
インビザラインと裏側矯正どちらがいい?
インビザラインも裏側矯正も、それぞれメリットとデメリットがあります。
ケースバイケースではありますが、インビザラインと裏側矯正、それぞれどのような方が適しているのか解説します。
インビザラインが適しているケース
費用を抑えたい場合は、インビザラインが向いているでしょう。マウスピースの取り外しができるため、大事なイベントがある、人前でスピーチする予定があるなどの場合も、インビザラインが適しています。
できるだけ痛みを抑えたい方にもインビザラインが向いています。虫歯や歯周病のリスクを心配している方も、セルフケアがしやすいインビザラインのほうがよいでしょう。
しかし、マウスピースを取り外せるということは、自己管理が重要ということです。ご自身でしっかり管理して決められた時間装着しなければ、スムーズに治療が進みません。
「食事や歯磨きのタイミングで着脱するのは面倒」「しっかり管理できる自信がない」という方は、固定式のワイヤー矯正のほうがスムーズに治療を完了できる可能性が高いでしょう。
裏側矯正が適しているケース
矯正装置を見られずにスムーズに治療を進めたい方や、マウスピースの管理に自信がない方は裏側矯正が向いています。裏側矯正は対応している歯科医院が多くないので、通える範囲に裏側矯正を提供している歯科医院があることも条件になるでしょう。
また、裏側矯正を受ける場合は、歯の裏側に装着された矯正装置のセルフケアをきちんと行うことが大切です。
どのような矯正治療でも、虫歯や歯周病を予防する必要がありますが、裏側矯正の場合は、特別なテクニックが必要になるでしょう。歯科医院の指示どおりにケアしてください。
裏側矯正は、見た目が最も自然なことがメリットです。費用が高くなっても矯正装置が見えないようにしたい方には、裏側矯正が適しています。
まとめ
矯正治療中に装置が目立たないようにしたい方に向いているのが、インビザラインと裏側矯正です。
インビザラインは透明なマウスピースを用いた治療で、裏側矯正は歯の裏側に矯正装置を装着する治療です。どちらも矯正治療を受けていることがわかりにくいでしょう。
インビザラインは、裏側矯正よりも費用が安いことが多いです。装着時に痛みにくく、取り外せることがメリットです。
裏側矯正は、表側に何も装着しないため見た目が自然なことがメリットでしょう。また、固定式のため、ご自身で矯正装置を管理する必要がありません。
それぞれの特徴を踏まえて、歯科医師と相談しながら選択しましょう。