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インビザラインは、取り外し可能なマウスピース型の矯正装置でその手軽さが人気ですが、治療期間がどのくらいかかるのか気になる方が多いでしょう。
そこで今回は、インビザラインを使用した治療にかかる平均の期間と、治療期間を少しでも短縮するためのコツをご紹介します。
インビザラインの治療にかかる平均期間
インビザラインの治療にかかる平均期間は、約2年〜2年半が一般的です。
1枚のマウスピースで移動できる歯の距離は約0.25mmとごくわずかで、マウスピースは約2週間毎に交換していくため、歯を1mm移動させるのにおよそ1ヶ月かかります。インビザラインは症状ごとに4つのプランに分かれており、重度の症状ほど多くのマウスピースが必要なため、軽度な症状に比べて長い期間がかかることを覚えておきましょう。軽度な症状の場合は、約1年ほどで治療が終了することもあります。
また、インビザラインの治療が終わった後は「リテーナー」という後戻り防止のための装置の使用が必要です。なるべく長い期間の使用が理想的ですが、最低でもマウスピースを使用して歯を移動させていた期間と同じ期間の使用が推奨されています。
ただし、この治療期間はあくまで平均で、お口の状態によって個人差がありますので、詳細な治療期間は担当の歯科医師より説明を受けてください。
インビザラインの治療が長引くケースとは
インビザラインでの治療は、歯型や専用のスキャナーで採ったお口の情報をもとに事前にプランが提示されて、ある程度の治療期間は把握できるでしょう。
しかし、場合によっては予定していた期間よりも治療が長引いてしまうことがあります。それぞれのケースについて解説していきます。
抜歯した場合
「叢生」と呼ばれる歯のガタガタが多い歯並びの場合や、出っ歯などが原因で口元を下げたい場合などは、歯の移動に必要なスペースを確保するために抜歯を行うことがあります。最終的には抜歯した隙間を閉じていくため、抜歯を必要としない歯並びに比べると歯の移動量が多くなるので、必然と治療期間も長くなります。
虫歯や歯周病に罹患している場合
インビザラインの治療中に虫歯ができてしまった場合、痛みを伴うなど緊急性の高い場合は虫歯の治療が必要です。治療後は詰め物や被せ物が入ることがほとんどなので、治療前の状態で作成したインビザラインのマウスピースが合わなくなってしまうことがあります。
同様に、インビザラインの治療中に歯周病が進行してしまい歯の動揺が大きくなると、抜歯が必要となることもあります。これらの場合は、歯型を取り直し新しいマウスピースを作成するので、その分の期間が余計にかかってしまうのです。
使用時間が足りていない場合
インビザラインは、1日20〜22時間以上装着する必要があります。歯磨きと食事以外の時間は装着することになるため、この装着時間を守れない場合は想定している歯の移動量は見込めません。
また、マウスピースを外している時間が長いと、再度装着しようとした時に入りづらくなってしまう可能性があります。治療を開始する前にきちんと装着時間の確保ができるかの確認が重要です。
紛失してしまった場合
マウスピースを紛失してしまった場合は、まずは通院先の歯科に連絡をし、紛失してしまった分の新しいマウスピースの作成を依頼します。届くまでには1〜2週間の期間がかかるため、その間は一つ前のステップのマウスピースを使用することになるでしょう。
新しいマウスピースを入れられない間は治療中断というかたちになり、タイムロスが発生します。マウスピースは透明で紛失しやすいので、付属のケースを常に携帯し、外したらケースにしまう習慣を身につけましょう。
リファインメントが必要な場合
治療計画通りに歯の移動が行われず、よりきれいな歯並びにするために、治療の途中で追加のマウスピースを作成することを「リファインメント」と呼びます。
インビザラインのプランによってリファインメントできる回数は変わってきますが、実際には多くの方がこのリファインメントを行っています。プランを作成する際は、リファインメントを考慮した治療期間が算出されていますが、きちんと装着時間を守って使用して定期的に通院している場合でも、コンピューターが作成したプランと実際の歯の動きが伴わないことがあるのが現状です。
インビザラインの治療期間を短縮するために心がけること
インビザラインの治療では、気をつけるポイントを押さえれば治療期間を短縮できる場合もあります。それぞれのポイントについて解説していきます。
治療前に虫歯と歯周病のチェックを受ける
治療期間が長引くケースでもお伝えしたように、インビザラインの治療途中で虫歯や歯周病の進行が発見された場合は、新しいマウスピースを作成する必要が出てくることがあります。そうならないためにも、インビザラインの治療を開始する前に、まずは一般歯科でお口全体のチェックを受け、虫歯や歯周病の有無を確認しておきましょう。
もし虫歯や歯周病が発見された場合は、治療が終わってからマウスピースを作成したほうがインビザラインの治療をスムーズに進めることができます。
通院頻度を守る
インビザラインの治療が始まると、約1か月〜3か月毎に通院します。しっかりマウスピースが入っていることを確認できたら、次のステップのマウスピースを受け取るという流れを辿るのです。
決められた通院間隔を守らないと、治療が予定通り進まなくなる原因になります。
使用時間を守る
推奨されている使用時間は1日20〜22時間以上です。
インビザラインは、食事と歯磨き以外の時間はマウスピースを装着することで効果が得られます。取り外しができるというメリットもありますが、ご自身で使用時間を意識しなければまりません。治療期間を延ばしたくない場合は、きちんと装着時間を守って使用しましょう。
ワイヤー治療と併用する
インビザラインのようなマウスピース矯正に比べて、ワイヤー矯正のほうが歯の動きは早くなります。
すべての歯にワイヤーの装置を付けるのは抵抗がある方は、マウスピースと部分的にワイヤーの装置を付けることで、マウスピース単体で治療を行うよりも治療期間を短縮できる可能性があります。もし部分的にワイヤーの装置を付けることに抵抗がなければ、検討してみてもいいかもしれません。
アライナーチューイーを使用する
アライナーチューイーとは、マウスピースをしっかり歯列に入れるためのシリコン製のロール状の棒のことです。
新しいマウスピースを入れる時は、ご自身の歯がまだそのマウスピースの形に合っておらず、かなりキツく感じたり、自分の指で押し込む力のみだと、しっかりマウスピースが入っていない場合があります。アライナーチューイーを使用し噛み込むことで、マウスピースと歯が密着し、歯の移動に必要な力が掛かりやすくなります。頻繁に使用しているとチューイー自体の弾力がなくなってきてしまうので、定期的な交換が必要となります。
まとめ
インビザライン治療にかかる平均の治療期間は、約2年〜2年半です。
ただし、気をつけなければいけないポイントを守らないと、さらに治療期間が延びてしまう可能性があります。取り外しができて歯磨きもしやすいインビザライン治療ですが、ある程度の自己管理が必要です。少しでも治療期間を短くしたい場合は、装着時間や通院間隔など、基本的な事項はきちんと守りながら治療を行っていきましょう。