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予防歯科は、歯の健康を保つための取り組みです。年齢が上がると、虫歯や歯周病で歯を失う人は少なくありません。予防歯科では、歯の健康を保つためにさまざまなことを行います。
では、予防歯科では具体的にどのようなことを行うのでしょうか。また、どれくらいの頻度で通えばよいのでしょうか。
本記事では、予防歯科で行う内容や通院頻度などについて解説します。虫歯や歯周病を予防してお口の中を健康な状態に保ちたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
予防歯科とは
予防歯科とは、虫歯や歯周病などの口腔内のトラブルを防ぎ、歯の健康を保つことを目的とした取り組みです。
歯に痛みが出たり歯茎から出血したりしてから歯科医院を受診する方は多いでしょう。これらの症状が現れてから歯科医院を受診すると、歯を削らなければならない状態になっていたり、歯周病の場合は顎の骨が溶けはじめていたりする可能性があります。
予防歯科では、虫歯や歯周病にならないようにメンテナンスを行います。
歯科先進国ともいわれるスウェーデンでは歯への健康意識が高く、定期的に歯科医院を受診し、虫歯や歯周病の予防に努めている人が多いと言われています。実際に、スウェーデンの80歳の人は、平均で21本の歯が残っているとの報告もあります。
一方で、厚生労働省が行った令和4年歯科疾患実態調査によると、80歳〜84歳の日本人の残っている歯の本数は平均15.6本と少ないことがわかります。
参照元:厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査結果の概要」
予防歯科と一般歯科の違いは?
予防歯科と一般歯科との違いは、歯の健康を保つためにより専門的な予防治療が行われる点です。
一般歯科は、虫歯や歯周病の治療を行う診療科目です。虫歯によって失われた歯を詰め物や被せ物で補います。口腔内の状態を確認し、必要であれば歯のクリーニングや正しいブラッシングの指導も行います。
学校や職場などで行われる歯科検診では、虫歯や歯周病などの口腔内トラブルを発見するための簡易的な検査を行うのみで、歯のクリーニングは行いません。
一方で、予防歯科では虫歯や歯周病を予防し、歯の健康を保つことが目的です。日頃の正しいブラッシングに加えて、歯科医院で専門の器具を使ったクリーニングや、フッ素の塗布などが行われます。
虫歯や歯周病になってから治療するのではなく、定期的に口腔内のメンテナンスを行い、トラブルを未然に防ぐことを目指します。
予防歯科の重要性
予防歯科は、お口の中を清潔な状態に保ち、虫歯や歯周病のリスクを軽減するうえで重要です。
虫歯や歯周病によって歯を失うと、食事や会話に支障をきたすだけでなく、精神面にも影響を及ぼしかねません。また、歯周病は心疾患や糖尿病などとも関連することがわかっています。
定期的に歯科医院で検診を受けることで、虫歯や歯周病を早期に発見でき、大掛かりな治療が必要になる前に対処できます。重症化する前に治療を受けられれば、短期間で治療を終えることができ、また費用も抑えられるでしょう。
セルフケアと歯科医院でのケアを徹底し、そもそも虫歯や歯周病にならなければ、歯を失うことも、体への負担や費用がかかることもありません。
予防歯科でできること
予防歯科でできることは、以下のとおりです。
口腔内の検診
予防歯科では、歯や歯茎の状態をチェックし、虫歯や歯周病などのトラブルがないか確認します。虫歯や歯のぐらつき、深い歯周ポケットがあった場合は、症状に応じた治療が行われます。
入れ歯やインプラントを使用している場合は、周囲に異常はないか、噛み合わせに問題はないかもチェックします。また、目視では確認できない虫歯や、歯茎に埋まっている親知らずなど、目に見えない部分を調べるためにレントゲン撮影をすることもあるでしょう。
スケーリング・ルートプレーニング
予防歯科では、スケーリングとルートプレーニングが行われます。スケーリングは、スケーラーという器具を使って歯の表面や歯周ポケット内に付着した歯石を除去する処置です。
ルートプレーニングとは、歯根の表面を滑らかにする処置です。スケーリング後、ルートプレーニングを行って、歯根の表面をツルツルにすることで汚れをつきにくくし、歯茎とくっつきやすくします。
PMTC
PMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略で、歯科医院で専用の機械や器具を使って口腔内を清掃する処置を指します。自分でどれだけ丁寧にブラッシングをしていても、歯が重なっている部分や歯と歯の間などには磨き残しが生じやすいです。
歯科医院では、歯科医師や歯科衛生士が専用の機械や器具を使用して、ふだんの歯磨きでは落としきれない歯の表面についた汚れや歯垢を徹底的に除去します。
フッ素の塗布
予防歯科では、歯にフッ素を塗布する場合もあります。フッ素には、歯質を強化する効果や、虫歯菌の働きを弱める効果があります。また、歯の表面のエナメル質から溶け出したカルシウムやリンを歯に戻す再石灰化を促す効果もあります。
3ヶ月に1回の程度で歯にフッ素を塗布することで、効果を維持できるでしょう。歯科医院でのフッ素塗布に加えて、家庭でもフッ素入りの洗口液や歯磨き粉を使うと虫歯の予防に効果的です。
シーラント
シーラントは、奥歯の溝を歯科用の樹脂で埋める予防処置です。
奥歯の溝は深く、歯ブラシが届きにくいため、汚れが残りやすいです。そのため、虫歯になるリスクが高まります。奥歯の溝を歯科用の樹脂で埋めて、汚れを溜まりにくくすることで、虫歯を予防します。
ただし、シーラント処置を行っても、一部が欠けて汚れが溜まることがあります。虫歯を予防するためには、ふだんからしっかりと歯磨きを行うことが大切です。
ブラッシング指導
予防歯科では、一人ひとりの口腔内の状態に合わせて、ブラッシング指導も行います。虫歯や歯周病などのトラブルを防ぐためには、日々のブラッシングが重要です。
歯科医師や歯科衛生士が、汚れが溜まりやすい歯と歯茎の間や奥歯の溝、歯周ポケットなどの正しい磨き方を指導します。歯間ブラシやデンタルフロスの使い方も指導することで、自宅で口腔内のすみずみまできれいにできることを目指します。
予防歯科は保険適用の対象となる?
予防歯科は、保険が適用される場合があります。保険は、病気の治療を目的としている場合に適用されるものです。従来、予防歯科は保険の適用外でした。
しかし、2020年4月に診療報酬改定が行われ、条件を満たせば保険が適用されるようになりました。具体的には、口腔内に虫歯・歯周病がある場合やリスクが高い状態であれば、保険が適用されるケースがあります。
実際に保険が適用されるかどうかは、歯科医院に確認しましょう。
予防歯科の費用目安
保険適用の場合、予防歯科の費用は3,000円〜4,000円程度が目安です。口腔内の検査からクリーニング、フッ素塗布まで行われます。
一方、自由診療で処置が行われる場合は、歯科医院によって行われる内容や料金設定が異なります。費用の目安は、5,000円〜3万円程度です。
予防歯科の通院頻度
予防歯科の通院頻度は、3ヶ月に1回程度が目安です。
ただし、虫歯や歯周病のリスクが高い場合は1〜2ヶ月に1回程度、口腔内の状態が良好であれば半年に1回程度など、口腔内の環境によって推奨される通院頻度が異なります。ご自身の場合、どのくらいの頻度で通院すればよいかは、歯科医師に確認しましょう。
まとめ
予防歯科とは、虫歯や歯周病などのトラブルを防ぎ、歯の健康を守るための診療科目です。具体的には、口腔内を清潔にするPMTCやスケーリング、フッ素の塗布などが行われます。
定期的に歯科医院でお口の状態をチェックして適切な処置を行えば、お口だけでなく全身の健康維持にもつながるでしょう。お口の状態によって通院頻度や必要な処置は異なります。予防歯科を検討されている方は、歯科医師に相談してみてください。
品川港南歯科・矯正歯科クリニックでは、痛みや施術時間を抑えながら自然な仕上がりの治療を目指しています。マウスピース矯正やセラミック治療、虫歯治療、ホワイトニングなどにも力を入れています。