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出っ歯は、見た目に問題があるだけでなく、日常生活に影響を及ぼすこともある歯列不正です。最近では、従来の金属ワイヤーを使用したワイヤー矯正に代わり、マウスピース矯正という治療法が注目を集めています。
マウスピース矯正では透明で取り外し可能な器具を用いるため、治療中であることが目立ちません。出っ歯の治療をマウスピース矯正で行いたいと考える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、マウスピース矯正がどのようにして出っ歯を治療するのか、どのような場合に有効かについて解説します。治療にかかる期間や費用もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
出っ歯になる原因
出っ歯とは、上の前歯が通常よりも前方に突き出ている状態を指します。見た目に問題があるだけでなく、口腔内の健康にも影響を及ぼします。
出っ歯がなぜ発生するのか、主要な原因を解説します。
歯列不正には、遺伝が大きな要因として関与しています。歯並びが直接遺伝するわけではありませんが、歯の大きさや顎の骨格は遺伝するのです。
遺伝的要因
家族の中に出っ歯の人がいる場合、顎の形状や歯の大きさが遺伝して出っ歯になるかもしれません。特に、上顎の骨が突出している場合や、歯が大きすぎて顎のスペースに収まりきらない場合などは、遺伝の影響が考えられるでしょう。
口腔内の悪習癖
子供の頃の口腔内の悪習癖も出っ歯の原因となることがあります。代表的なものとしては、指しゃぶりや舌を前に突き出す癖が挙げられるでしょう。
これらの癖があると、前歯に不自然な圧力がかかります。長期にわたって続けられると、歯が前方に移動することがあるのです。
口呼吸
口呼吸は、名前のとおり鼻ではなく口を使って呼吸することです。本来、舌は上顎の歯にぴったりと吸い付いています。
しかし、口呼吸の習慣があると、舌の位置が適切でなくなります。結果として、歯並びや顎の成長に悪影響を与えるのです。
姿勢が悪い
猫背などの悪い姿勢も出っ歯の原因になり得ます。顎の位置に影響を与え、それが歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。
出っ歯を放置するとどのようなリスクがある？
出っ歯を放置すると、将来的に口腔内および身体全体の様々な健康問題を引き起こす可能性があります。
虫歯と歯周病のリスクが増加する
出っ歯の場合、歯が正常な位置にないため、歯ブラシが届きにくい場所が生まれます。プラークの蓄積しやすく落としにくくなるので、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
咀嚼機能が低下する
出っ歯の状態では正しく噛み合わないので、咀嚼効率の低下を招くことがあります。食べ物を効率よく噛み砕くことが難しいので、栄養吸収の問題に繋がるケースもあるでしょう。
特に、高齢になると消化不良や栄養不足を引き起こす原因となることがあります。
特定の発音が難しくなる
出っ歯は発音にも影響を及ぼします。特にサ行やタ行などの発音時に、舌の位置が通常と異なるためはっきりと発音できなくなることがあります。
うまく発音できないことから、社会生活においてコミュニケーションに支障をきたすかもしれません。
顎関節症を発症するリスクが高まる
不正咬合では、顎関節に負担がかかります。長期間出っ歯を放置していると、顎関節症のリスクが高まるでしょう。
顎関節症になると、顎の痛みやこわばり、顔全体の痛みなどの症状が現れます。日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
マウスピース矯正で出っ歯は治療できる？
マウスピース矯正は、目立たない透明な装置を使用することと、取り外しが可能で利便性が高いことから、多くの人々に選ばれる矯正方法です。
しかし、すべての出っ歯をマウスピース矯正で治療可能なわけではありません。ここでは、治療可能な出っ歯と、治療が困難な出っ歯について解説します。
治療可能な出っ歯
マウスピース矯正が効果的なのは、軽度から中程度の出っ歯です。具体的には、前歯が若干前方に突出している状態を指します。
出っ歯の原因が歯の配置によるもので、骨格的な問題が少ない場合には、マウスピース矯正によって治療できるでしょう。抜歯が必要なことはあるかもしれませんが、歯を後方に移動させて突出感を改善します。
治療が困難な出っ歯
重度の出っ歯や、出っ歯の原因が顎の骨格にある場合は、マウスピース矯正だけでは治療が困難です。例えば、顎の骨自体が異常に前方に突出している骨格性の出っ歯の場合、マウスピース矯正で歯を動かすことはできても、顎の位置そのものを変えることはできません。
このような状態では、外科手術を伴う矯正治療が必要になることがあります。
マウスピース矯正で出っ歯を治療する方法
マウスピース矯正は、透明で取り外し可能な器具を用います。見た目への影響が少なく、日常生活への影響も最小限に抑えられるでしょう。
ここでは、マウスピース矯正で出っ歯を治療する流れと、抜歯の必要性について解説します。
治療の流れ
マウスピース矯正では、歯科医師が口腔内の詳細な検査を実施します。X線撮影やデジタルスキャンを通じて、歯の配置や顎の構造、咬合関係を分析します。
その後、得られたデータをもとに、患者さま個々に最適な治療計画を作成します。この計画では、具体的にどの歯をどの方向にどれだけ動かすのかを定めます。最終的な歯並びを確認できる場合もあるでしょう。
治療計画が決定すると、マウスピースが製作されます。患者さまはマウスピースを1日20時間以上装着し、定期的に新しいマウスピースに交換して治療を進めます。歯が徐々に理想の位置に移動し、歯並びが整うのです。
抜歯が必要な状況
出っ歯の治療において、特に歯が密集している場合や適切なスペースを確保する必要がある場合には、抜歯が必要となることがあります。前方に突出した歯を適切に後方に移動させるためのスペースを作るために行われます。
この場合、マウスピースの装着を始める前に抜歯をすることが多いです。抜歯によって得られたスペースに前歯を移動させて、出っ歯を改善します。
マウスピース矯正で出っ歯を治療する場合の期間
マウスピース矯正を選ぶ際に気になるのは、治療にどれくらいの時間がかかるのかということでしょう。マウスピース矯正の期間は通常、軽度から中度の出っ歯の場合は12ヶ月から24ヶ月程度です。
また、歯の移動が完了したら、歯の位置を安定させる保定期間に移ります。保定期間の期間を一律で決めている歯科医院もありますが、歯並びを整えるのにかかった期間と同程度とする歯科医院も多いです。
マウスピース矯正で出っ歯を治療する場合の費用
治療にどれくらいの費用がかかるのかという点も気になる方が多いでしょう。マウスピース矯正の費用は、治療が必要な歯の数、矯正の複雑さ、使用するマウスピースの種類によって異なります。
一般的には70万円から100万円程度が目安とされています。部分矯正であれば安く治療できますが、対応できる症例が限られており、特に出っ歯の治療は全体矯正が必要になることが多いでしょう。
矯正治療は自由診療なので、歯科医院によって費用が異なります。治療開始前に治療にかかる費用を確認しておくことが重要です。
まとめ
出っ歯は、見た目に問題があるだけでなく、口腔健康や全体的な健康にも影響を及ぼします。ご自身にあった方法で治療するべき歯並びと言えるでしょう。
マウスピース矯正は、生活の質を維持しながら出っ歯を治療できることが多いです。見た目が目立たないこと、痛みが少ないとされていることから、多くの方に選ばれている治療法です。
しかし、重度の出っ歯や骨格的な問題を抱える出っ歯は、他の矯正方法や手術が必要となることもあります。治療を検討する際は、歯科医師としっかり相談しましょう。