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透明なマウスピースを歯にはめることで歯列をととのえる方法に、インビザライン矯正があります。
しかし、歯の動きには個人差があり、治療計画どおりに歯が動かないことも多いです。多少の歯の動きの誤差を解消するために必要なのが「リファインメント」です。リファインメントでは、アライナー（マウスピース）を追加することで誤差を解消し、治療計画の修正を行います。
今回は、インビザラインのリファインメントについて詳しく解説します。これからインビザライン矯正を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
インビザラインで歯が計画どおりに動かない原因
インビザライン矯正は、マウスピースで歯に力をかけながら、徐々に歯を移動させます。
しかし、歯の動き具合には個人差があり、指示どおりに適切にマウスピースを装着しても、治療計画どおりに歯が動かないケースがあります。インビザライン矯正で計画どおりに歯が動かない原因は、以下のとおりです。
マウスピースを指示どおりに装着していない
歯科医師からの指示どおりにマウスピースを装着していないと、計画どおりに歯が動かない原因になります。インビザライン矯正は、マウスピースを適切に使用することで効果を発揮します。
指示どおりにマウスピースを使用していない具体例は、以下のとおりです。
・1日20～22時間以上装着していない
・指定された期間ごとにマウスピースを交換していない
・着脱がうまくできずにマウスピースが変形した
特に、マウスピースはご自身で着脱可能なため、装着時間は十分気をつける必要があります。
歯を動かす距離が長い
歯を動かす距離が長い歯並びは、個人差により計画どおりに治療が進まないケースがあります。歯を並べるスペース不足により、抜歯が必要な歯並びは全体的に歯を動かす距離が長くなります。
歯を動かすのに時間がかかる
動かすのに比較的時間がかかる歯は、治療が計画どおりにいかない原因になります。特に、奥歯やねじれている歯は、ほかの歯に比べて動かすのに時間がかかるでしょう。
また、歯の動きやすさは年齢も関係します。矯正では、歯周囲の骨の吸収と再生を繰り返しながら歯を動かします。そのため、体の代謝能力によって歯の動く速度は異なり、若いほど歯は動きやすいです。
途中で患者さまからご要望が追加される
矯正を進めていくことで歯並びのイメージがより具体的となり「もっとこういう歯並びにしたい」というご要望を口にされる患者さまも多いです。矯正するなら、できるだけご自身の理想の歯並びに近づけたいのは当然のことでしょう。その場合は、治療計画を修正する必要があります。
インビザラインのリファインメントと追加アライナーとは
インビザラインのリファインメントとは、当初の治療計画と実際の歯の動きのずれを解消するため、アライナー（マウスピース）を追加することです。歯の動きは個人差があるため、治療計画どおりに進むことは少ないです。理想の歯並びに近づけるため、インビザライン矯正を受けるおよそ8割の方がリファインメントを行っています。
インビザライン矯正では、およそ2週間ごとにマウスピースを交換して、理想の歯並びに近づけるよう歯を動かします。インビザライン矯正は、はじめに採取したお口のデータをもとに、治療中に使用する30～60枚すべてのマウスピースを治療前に作製するのです。その後、治療の経過から計画の修正が必要だと判断されると、1回のリファインメントにつき15～30枚程度のアライナー（マウスピース）が追加されます。
リファインメントはいつ行う？
リファインメントは、治療経過から計画の修正が必要だと歯科医師が判断したときに行われます。治療計画の修正が必要になるのは、主に以下の場合です。
・治療計画と歯の動きにずれが生じた
・噛み合わせの調整が必要となった
リファインメントが必要ない方は非常に少なく、多くの方が2～3回程度のリファインメントを行います。タイミングは歯並びによって異なりますが、治療の中期以降に行われることが多いです。
また、当初予定していたマウスピースをすべて使用したあとに、追加で歯並びの調整が必要な場合もリファインメントを行います。歯がきれいに並んでいても、奥歯の噛み合わせなどがあわないケースもあるからです。
リファインメントによって変更されること
リファインメントは治療計画の修正が入るため、次の変更が起こることがあります。
＜リファインメントによって変更されること＞
| アタッチメントの 数や場所の変更 | アタッチメント（マウスピースをしっかり歯に固定するため、歯に直接つける突起）の数や場所を変更する |
| ゴムかけの装着 | 歯の垂直的な動きを補助するゴムを装着する |
| バイトランプの装着 | バイトランプ（奥歯の噛み合わせが離開しないために、 上のマウスピースの前歯裏にあるでっぱり）を装着する |
| IPR（Inter Proximal Reduction）の実施 | IPR（すき間をつくるために歯と歯の間を削ること）を実施する |
上記のほか、追加のアライナーが増えることで治療期間が延びます。一般的にインビザラインの矯正期間は2～3年ですが、1回のリファインメントで半年ほど治療期間が延びると考えましょう。
リファインメントの流れ
リファインメントは、主に矯正治療初期と同じ流れで進めます。
歯の精密検査
歯型の採取やレントゲン撮影、顔貌写真の撮影を行います（歯並びの状態によって検査内容は異なる場合があります）。
治療計画の修正と説明
検査で得たデータから、歯科医師が改めて治療計画の修正を行います。修正した治療計画をもとに、今後の治療の流れを患者さまに説明します。
追加アライナーの制作を依頼
採取したお口のデータと治療計画を歯科医院からインビザラインの会社に送り、追加アライナー（マウスピース）の作製を依頼します。追加アライナーが歯科医院に到着するまでおよそ1～2か月かかるため、到着するまで最後に使用していたアライナーを装着しましょう。
ただし、追加アライナーが届くまでの日数は歯科医院によって異なるので、通院中の歯科医院に確認しましょう。
追加アライナーの装着
追加アライナーが到着したら、今までと同じく、指示された期間ごとにマウスピースを交換して装着しましょう。
リファインメントの費用
リファインメントの費用は、歯科医院によって異なります。インビザラインのシステムによってマウスピースの上限枚数が決まっており、上限枚数を超える追加アライナーは費用がかかるケースがあります。
ただし、歯全体を矯正する「インビザライン・フル」はマウスピースの枚数が無制限のシステムなので、追加費用がかからないところが多いです。
＜インビザラインにおけるシステムごとのマウスピースの上限＞
| システム | 特徴 | マウスピースの上限枚数 |
| インビザライン・フル | ・適応できる症例が幅広い ・すべての歯を動かせる | 無制限 |
| インビザライン・ライト | ・軽度の不正咬合が対象 ・すべての歯を動かせる | 14枚 |
| インビザライン・i7 | ・インビザライン・ライトよりも軽度の不正咬合が対象 （後戻りなど） ・すべての歯を動かせる | 7枚 |
| インビザラインGO | ・軽度の前歯の不正咬合 ・前歯のみを動かす | 20枚 |
また、リファインメントで行う精密検査は別途費用がかかる歯科医院もあります。インビザライン矯正をはじめる際は、リファインメントを視野にいれて、追加費用を確認しましょう。
まとめ
インビザラインでは、当初の治療計画どおりに歯が動かない場合にリファインメントを行う必要があります。リファインメントは、治療計画を修正し、アライナーを追加して理想の歯並びに近づけるためのものです。歯の動きには個人差があり、治療計画のとおりに動くことの方が少ないです。そのため、ほとんどの方は、2～3回程度のリファインメントが必要になることを理解しましょう。
また、治療を進めていくなかで、より具体的に「こういう歯並びにしたい」と患者さまからご要望があった場合も治療計画の修正が必要です。リファインメントが入ると、当初の予定より治療期間が長くなることで肩を落とす方もいるかもしれません。
しかし、理想の歯並びのためにもリファインメントは必要な過程です。理想の歯並びになったご自身を思い浮かべ、インビザライン矯正のモチベーションを維持しましょう。