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インビザライン治療は、透明なマウスピースを使用した人気のある矯正方法です。
しかし、ごく稀に、人によってインビザライン治療中に頭痛が生じることがあります。
今回は、インビザライン治療によって引き起こされる頭痛や対処法について解説します。
インビザライン治療によって頭痛が起こることはある?
インビザライン治療によって頭痛が起こることはあります。インビザライン治療だけでなく、ワイヤー矯正など、ほかの矯正治療でも同様です。
一般的に、矯正治療中の頭痛は、首や肩などの筋肉などが緊張することにより引き起こされることが多いといえるでしょう。
矯正治療中に筋肉が緊張する理由
インビザライン治療では、専用のマウスピースを1日に20〜22時間以上装着する必要があり、お口の中の違和感が1日中続くため、ストレスがかかります。その結果、睡眠中に歯を食いしばることが増え、首や肩などの筋肉などが緊張し、頭痛が生じるのです。
筋肉が過度に緊張することで引き起こされる頭痛のことを「緊張型頭痛」といいます。緊張型頭痛は、頭全体を締め付けられるような痛みが特徴です。痛みの程度は、片頭痛よりも軽く、日常生活に影響をおよぼすことはほとんどありません。
インビザライン治療によって頭痛が起こりやすいタイミング
上記では、インビザライン治療で頭痛が誘発される原因について解説しました。では、インビザライン治療中、どのタイミングで頭痛が生じやすいのでしょうか。
インビザライン治療中、頭痛が生じやすいタイミングは、以下のとおりです。
ゴムかけをしたとき
インビザライン治療では「ゴムかけ」と呼ばれる、歯を動かす力を増やすためや力の方向を調節するためにマウスピースに専用のゴムを装着することがあります。
ゴムかけを行うと歯に大きな力が加わり、痛みを生じることがあります。それが原因でストレスが生じ、食いしばりによる頭痛が起きやすくなるのです。
新しいマウスピースに交換したとき
インビザライン治療では、専用のマウスピースを2週間ほど装着したあと、新しいマウスピースに交換します。新しいマウスピースに交換したときは、歯に大きな力が加わりやすいため、食いしばりが起き、頭痛の原因となります。
起床したとき
日中の食いしばりは、意識することである程度防ぐことができます。そのため、食いしばりは基本的に睡眠中に起きます。
睡眠中に食いしばりが起きると、起きたときに首や肩などの筋肉が緊張しているため、頭痛が起きやすくなるのです。
硬いもの食べたとき
ゴムかけや新しいマウスピースに交換したときは、歯に大きな力が加わります。硬い食べ物を食べると、歯の周りに存在する歯根膜とよばれる膜に刺激が加わり、頭痛の原因となります。
新しいマウスピースに交換したときは、硬い食べものはひかえましょう。
ストレスが大きいとき
人体には、内臓や血管などを自動的に調整する「自律神経」が存在します。自律神経は、交感神経と副交感神経があり、交感神経は活動しているときに活発になり、副交感神経はリラックスしているときに活発になります。
日常のストレスが増えると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、交感神経の活動が大きくなるでしょう。交感神経の活動が大きくなると、筋肉の緊張が高まり、食いしばりによる頭痛が起きやすくなるのです。
食いしばりによって引き起こされる頭痛以外の症状
食いしばりは、ストレスなどによって歯に過剰な負担が加わり、頭痛以外にもさまざまなトラブルを引き起こします。
食いしばりによって引き起こされる頭痛以外の症状は、以下のとおりです。
歯が欠ける・割れる
食いしばりが起きると歯に過剰な力が加わり、歯が欠けたり割れたりすることがあります。歯が割れると、場合によっては抜歯の必要があります。
顎関節症になる
耳の近くには「顎関節」とよばれる関節があります。顎関節症になると、顎関節内にある関節円板(かんせつえんばん)とよばれる軟骨がずれ、お口の開け閉めが難しくなります。重症化すると、お口が開かなくなる場合もあるのです。
食いしばりは、歯だけではなく、顎関節にも過剰な力が加わり、顎関節症になるリスクがあるでしょう。
知覚過敏が起こる
歯は、表層からエナメル質、象牙質、セメント質の3層から形成されます。
食いしばりが起きると、表層にあるエナメル質が欠け、象牙質が露出します。象牙質に冷たいものなどの刺激が加わると、歯の神経まで刺激が到達し、知覚過敏の原因となるのです。
骨隆起ができる
食いしばりが長期間続くと、歯に加わる過剰な力に抵抗するように顎の骨が増殖し、顎の骨に「骨隆起(こつりゅうき)」というこぶができます。骨隆起は、腫瘍などとは違い、悪いものではありません。
しかし、入れ歯などを装着する際に邪魔となる場合は、骨隆起を切除することがあります。
インビザライン治療によって頭痛が起きたときの対処法
上記では、インビザライン治療と頭痛の関係について説明しました。次に、頭痛が起きた場合の対処法について解説します。
インビザライン治療中の頭痛の対処法は、以下のとおりです。
筋肉の緊張をほぐす
矯正治療で起こる頭痛は、首や肩の筋肉が緊張することで引き起こされます。筋肉の緊張をほぐすためには、筋肉のマッサージが有効です。
頭痛と関係がある筋肉は、主に「僧帽筋(そうぼうきん)」と「側頭筋(そくとうきん)」です。僧帽筋は首から肩にかけて存在し、側頭筋は耳の上から後頭部にかけて存在します。マッサージを行う際は、僧帽筋と側頭筋をほぐしましょう。
また、入浴などで血流を改善することで、筋肉の緊張を取りのぞくことができます。
鎮痛剤を使用する
インビザライン治療中に頭痛が生じた場合は、鎮痛剤を服用しましょう。鎮痛剤は、市販のお薬か担当の歯科医師に相談して、鎮痛剤を処方してもらうことをおすすめします。
なお、鎮痛剤の種類によっては胃潰瘍の原因となることがあるので、用法や用量はしっかり守りましょう。
担当の歯科医師に相談する
頭痛があまりにもひどい場合は、歯に加わる力が大きすぎる可能性があります。場合によっては、インビザライン治療が原因ではなく、ほかの疾患による頭痛の可能性もあります。
担当の歯科医師と相談して、今後の対応を相談しましょう。
インビザライン治療による頭痛の予防法
インビザライン治療で頭痛が生じないためにはどうすればよいのでしょうか。頭痛が生じないための予防法は、以下のとおりです。
ストレスを溜めない
ストレスが溜まると食いしばりが起きやすくなります。ウォーキングや運動などを定期的に行い、ストレスを溜めないように心がけましょう。
柔らかいものを食べる
ゴムかけや新しいマウスピースに交換したときに、硬いものを食べると歯に負荷が加わり、頭痛が生じることがあります。新しいマウスピースに交換したときなど、頭痛が生じやすいタイミングでは、硬いものはひかえ、うどんや豆腐などの柔らかいものを食べましょう。
まとめ
今回は、インビザライン治療によって生じる頭痛について解説しました。
インビザライン治療では、長時間のマウスピース装着がストレスとなって食いしばりが誘発されます。 食いしばりが起こると、首や肩などの筋肉が緊張し、頭痛につながります。頭痛が起きた場合は、筋肉のマッサージを行う、鎮痛剤を服用するなどで対処しましょう。また、頭痛が長時間続く場合は、ほかの疾患の可能性があるので、担当の歯科医師に相談しましょう。