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インビザラインは、透明なマウスピースを装着して歯を動かす矯正方法です。矯正治療中であることが目立ちにくく、マウスピースを装着するだけという手軽さから人気があります。使用する装置は、患者様ご自身で取り外せることもメリットでしょう。
しかし、取り外しできることから、装置をつけ忘れることもあります。インビザラインを1日つけ忘れたことで、矯正治療に影響が出るのではないかと心配になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、インビザラインを1日つけ忘れた場合の影響や対策について詳しく解説します。
インビザラインを1日つけ忘れたらどうなる?
インビザラインを1日つけ忘れただけであれば、治療の進み具合や仕上がりにはほとんど影響しないでしょう。
インビザラインは1日20〜22時間装置を装着して、1週間かけて約0.25mm歯を動かします。ブラケット矯正に比べると歯にかかる力が弱く、1日に換算すると歯の移動距離は約0.03mmです。1日つけ忘れただけでは、大きなずれは生じません。
しかし、1日つけ忘れることが頻繁に続いた場合や、2~3日以上つけ忘れた場合は、以下の悪影響を及ぼす可能性があります。
治療期間が延びる
指示された装着時間や期間を守れないと、治療計画どおりに歯が動かず、治療期間が延びるでしょう。
マウスピース矯正は、装置を長時間装着して継続的な力をかけて、歯を動かす方法です。頻繁につけ忘れた場合や、長期間つけ忘れた場合、歯に矯正力がかからず治療が進みません。後戻りによって、歯列不正が悪化する可能性もあります。
後戻りとは、矯正治療で動かした歯が、もとの位置に戻ろうとする現象です。矯正後、半年以上は歯の周囲組織が安定しないため、後戻りが起きやすいとされています。
マウスピースの追加が必要になる
1週間程度インビザラインをつけ忘れた場合、後戻りが起きてマウスピースを装着できない可能性があります。装着したときに痛みや締め付けを感じるときは、マウスピースが合わなくなっているかもしれません。
1週間以上インビザラインをつけ忘れた場合は歯科医院へ連絡し、歯科医師の指示に従ってください。治療計画の見直しやマウスピースの追加が必要になる場合があるでしょう。
マウスピースの追加には、費用がかかることが多いです。選択しているコースや歯科医院の料金体系によって異なるので、歯科医院に確認しましょう。
痛みや違和感が出る
新しいマウスピースに交換したばかりの頃は、軽い痛みや違和感を生じやすいです。同様に、長期間インビザラインをつけ忘れた場合は、痛みや違和感が出ることがあります。
歯茎が下がって歯の根が目立つ
頻繁につけ忘れたにも関わらず次のマウスピースに交換すると、歯茎が下がる恐れがあります。マウスピースをつけ忘れたことで歯の移動が進まず、通常よりも大きな力がかかるからです。
歯に負担がかかりすぎると、歯を支えている骨が過剰に吸収されて歯茎が下がります。歯茎が下がると歯の根元が露出し、歯と歯の間のすき間が目立つでしょう。
インビザラインを1日つけ忘れたときはどうしたらいい?
インビザラインを1日つけ忘れたときは、現在使用しているマウスピースの装着期間を1日延ばしてください。
1日つけ忘れただけで治療計画に大きな影響を与えることはありませんが、少しずれているのは事実です。念のため、装着期間を延ばすとよいでしょう。
交換時期にずれが生じた場合は、次の受診の際に歯科医師に伝えてください。1日の途中でつけ忘れに気づいたら、気づいたときにマウスピースを装着しましょう。
頻繁につけ忘れたときはどうする?
マウスピースを交換するまでの間に何度もつけ忘れた場合は、歯科医院に連絡して指示を仰いでください。治療計画と歯の動きに大きなずれがある場合は、治療計画の修正やマウスピースの再作成を行います。
どのようなときにインビザラインをつけ忘れやすい?
インビザラインは1日20〜22時間装着する必要があります。食事や歯磨き以外の時間は基本的に装着しますが、つけ忘れることもあるでしょう。
特に、次の場面ではつけ忘れが多いため、注意してください。
食事や歯磨きのあと
食事中や歯磨きの際は、マウスピースを外します。外したままつけ忘れることがあるでしょう。
マウスピースは基本的に食後の歯磨きを終えてから装着します。歯磨きをしたらマウスピースを装着する習慣を身につけましょう。
痛みがあるとき
マウスピースを交換したあと、2~3日程度は軽い痛みや違和感が生じやすいです。痛みが嫌だからと外し、つけ忘れることがあるでしょう。
外食したとき
外食したときは食後に歯磨きできないことが多いので、つけ忘れるケースがあります。自宅などに戻ったら早めに歯磨きを行い、マウスピースを装着しましょう。
旅行したとき
旅行中は、食べ歩きをする、写真を撮るなど、マウスピースを外す機会が多いでしょう。つけ忘れなくても、マウスピースを外す時間が長くなることも多いです。
また、旅行時の食後はすぐに歯磨きできず、マウスピースを装着できないことがあるでしょう。携帯用の歯磨きシートを持ち歩いてケアするなど、歯磨きできなくてもマウスピースを再装着できるように対策してください。
ただし、歯磨きシートでは汚れがしっかり落ちません。ホテルに戻ったらしっかり歯磨きをしましょう。
イベントに参加したとき
結婚式などのイベントに参加した場合、写真を撮る、飲食するなど、インビザラインを外す機会が多いです。外して参加する方もいるでしょう。 数時間程度であれば問題ありませんが、1日以上外した状態が続かないようにしてください。イベントが終わったら忘れずに装着しましょう。
インビザラインのつけ忘れ防止法
毎日こまめにつけ外さなければいけないインビザラインですが、理想の歯並びに近づくためにはつけ忘れを避ける必要があります。
つけ忘れを防止する方法は、以下のとおりです。
アラームやリマインダーを活用する
歯を磨いたあとや就寝前など、装着するタイミングをアラームやリマインダーで通知する方法です。特に、つけ忘れると長時間経過する就寝前は、リマインダーを設定するとよいでしょう。
矯正治療専用のアプリを使う
マウスピース矯正用のアプリを使用することで、つけ忘れやマウスピースの交換忘れを防げます。
現在では、さまざまな矯正治療用のアプリがあり、無料のアプリも提供されています。アプリによってできることは異なりますが、装着タイミングや交換時期を通知できるものが多いです。
アプリを使えば歯並びの変化なども確認できるため、治療へのモチベーションアップにも効果があるでしょう。
1段階前・後のマウスピースを持ち歩く
外出時は、1段階前と1段階後のマウスピースをそれぞれ持ち歩いてください。
特に、旅行などで長期間家を離れた際にマウスピースを紛失すると、何も装着できなくなります。後戻りや治療の遅れにつながるでしょう。
常に予備のマウスピースを持ち歩き、つけ忘れや紛失に備えてください。
携帯用歯ブラシや歯磨きシートを持ち歩く
外出先で食事をすると、歯磨きできないこともあるでしょう。歯磨きするまではマウスピースを装着できないため、つけ忘れることがあります。
外出先でも歯のケアができるグッズを持ち歩くことで、つけ忘れを防止しましょう。
まとめ
インビザラインを1日つけ忘れただけでは、矯正治療への影響はほとんどありません。つけ忘れたときは、装着期間を1日延ばしましょう。
ただし、1日のつけ忘れが何度も続くと、治療が長引く、後戻りが起きるなどの悪影響を及ぼします。治療計画の立て直しや、マウスピースの追加が必要になることもあるでしょう。 リマインダー機能や専用アプリを使用して、つけ忘れないようにしてください。予備のマウスピースを持ち歩くなど、破損・紛失に備えることも重要です。