歯の矯正を検討されている大人の方にとって、費用は最も気になるところではないでしょうか。矯正治療の費用は、装置の種類や治療する範囲、移動させる歯の本数によって変動します。
また、歯科医院によっても費用は異なりますので、費用相場を知っておくとよいでしょう。
この記事では、大人の歯の矯正にかかる費用、プロセスごとにかかる費用、費用負担を抑える方法などについて解説します。
大人の歯の矯正治療にかかる費用

大人の歯の矯正治療にかかる費用は、治療する範囲や装置の種類によって異なります。また、歯科医院によっても料金設定が異なるため、ここで紹介する費用は目安として参考にしてください。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯にブラケットとワイヤーを固定して移動させる矯正方法です。主に3つの種類があり、それぞれ費用相場が異なります。
表側矯正
歯の表面に装置を取り付けるワイヤー矯正の方法です。費用は部分矯正で30万円~60万円、全体矯正で60万円~120万円程度が一般的です。
表側矯正は最も歴史のある方法で、重度の不正咬合や抜歯の必要な症例などにも対応できます。装置を歯の表面に付けることで、口元が目立つのはデメリットといえます。
費用は上乗せされるものの、目立ちにくい色のブラケットやワイヤーを選択することも可能な場合があります。
裏側矯正
表側矯正とは反対に、歯の裏側に装置を取り付ける方法です。口を開けたときにも装置がほとんど見えないため、矯正中の見た目が気になる方に選ばれています。
舌に当たりやすいため、口内炎ができたり、歯磨きがしにくくなったりすることがあります。また、装置に慣れるまでの間は、滑舌が悪くなる場合もあるでしょう。
費用は部分矯正で40万円~70万円、全体矯正で100万円~180万円が一般的です。
歯の裏側に装置が付く分、歯科医師による装置の調整も難易度が高くなります。これにより、診察に時間がかかったり、回数がかかったり、矯正中の診察費用も高くなることがあるので注意が必要です。
ハーフリンガル矯正
上の歯は裏側矯正、下の歯は表側矯正を採用する矯正治療です。2つの方法のメリットをかけわせた方法で、表側矯正だけよりも目立ちにくく、裏側矯正だけよりも費用を抑えられます。
ただし、歯磨きのしにくさや、診察に時間がかかる可能性があるのがデメリットといえるでしょう。費用は部分矯正で30万円~70万円、全体矯正で70万円~140万円です。
マウスピース矯正
着脱のできる透明なマウスピースを使用した方法です。費用は部分矯正で20万円~70万円、全体矯正で50万円~120万円です。
食事や歯磨きの際には必ずマウスピースを外すため、虫歯や歯周病のリスクを抑えられます。さらに、1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換するため、口内を清潔に保ちやすいのがメリットです。
また、歯科医師による装置の調整が必要ないため、ワイヤー矯正よりも診察回数が少なく、トータルの費用が抑えられる傾向にあります。
ただし、重度の不正咬合の場合、治療できないことがあります。また、マウスピースの変形や破損、紛失が起きた場合、作り直しが必要になり、その都度マウスピースの追加費用として1~3万円ほどかかることがあるので注意が必要です。
歯の矯正の治療プロセスごとにかかる費用

大人の歯の矯正治療では、装置にだけ費用がかかるのではありません。矯正前・矯正中・矯正後と、それぞれのプロセスごとに費用がかかります。
矯正前にかかる費用
矯正治療を始める前に、患者様の歯に対するお悩みを聞くカウンセリングを実施します。また、お口の中の状態を把握し、お悩み解決のための患者様に合った治療計画を立てます。
カウンセリング費用
カウンセリングでは、簡単な診察を行った後、患者様の歯に対するお悩みをお伺いします。「歯並びが恥ずかしい」「出っ歯が気になる」といったお悩みを持つ方は少なくありません。
患者さまが持つお悩みに対し、どんな治療法があるか、治療の進め方や費用、メリット・デメリットについて詳しくご説明いたします。患者様に矯正治療についてよく知っていただく場ですので、疑問点や不安点がある場合は遠慮せずに相談しましょう。
カウンセリングの費用は、無料もしくは1回3,000円~1万円です。
精密検査・診断費用
治療を受けたい歯科医院が決まったら、精密検査を受けます。精密検査では、視診の他にレントゲン撮影・CT撮影、歯型の採取、顔貌の写真撮影、虫歯・歯周病の確認などを行うのが一般的です。
また、精密検査の結果をもとに、患者様に合った治療計画を立てます。費用は精密検査で1万円~3万円、診断費用で1万円~3万円が相場です。
歯科治療の費用
検査で虫歯や歯周病が見つかった場合、矯正治療前に治療をしなければいけません。矯正を始めてからだと、装置が邪魔になりうまく虫歯や歯周病の治療ができない場合があるからです。
虫歯や歯周病の治療にかかる費用は、2,000円~1万円程度です。
しかし、重度になると複数回の治療が必要になり、この費用よりも高くなる場合があるでしょう。
さらに、歯を並べるスペースが足りない場合には、抜歯が必要になります。矯正治療のための抜歯は保険適用外となるため、1本あたり5,000円~1万円程度かかります。
矯正中にかかる費用
矯正治療中にかかる費用は、装置の費用と診察ごとの費用です。
装置の費用
装置の費用は、下記のとおりです。
・表側矯正:20万円~110万円
・裏側矯正:30万円~170万円
・ハーフリンガル矯正:20万円~130万円
・マウスピース矯正:10万円~110万円
装置の種類によって適応症例やメリット・デメリットが異なります。歯科医師とよく相談し、治療法を決定するのがよいでしょう。
調整・管理の費用
ワイヤー矯正・マウスピース矯正のどちらも、矯正中は定期的に歯科医師の診察が必要です。定期的な診察では、治療計画通りに歯が動いているか、装置の調整が必要か、虫歯や歯周病はないかなどを確認します。
費用は、1回あたり3,000円~5,000円です。
矯正後にかかる費用
矯正治療が終わると、保定期間に入ります。ここでは、保定期間にかかる費用を解説します。
保定装置の費用
矯正治療後は、矯正中に使っていた装置とは違い、リテーナーという保定装置を使用します。
<リテーナーの種類ごとの費用・特徴>
リテーナーの種類 | 費用 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
マウスピース型リテーナー | 1万円~2万円 | 自由に取り外し可能他のリテーナーに比べると安価口内を清潔に保ちやすいマウスピース矯正の装置と同様に扱える | 他のリテーナーに比べると耐久性が低い装着時間の管理が必要 |
プレート型リテーナー | 2万円~6万円 | 取り外しできる口内を清潔に保ちやすいワイヤーの力によって歯並びを固定する耐久性が高い後戻り予防の効果が高い | 入れ歯のような見た目ワイヤーが目立ちやすい |
ワイヤー型リテーナー | 2万円~4万円 | 歯の裏側にワイヤーを固定するため、目立たない装着時間の管理が必要ない | 着脱できない食べかすが詰まりやすい歯磨きがしにくい |
主なリテーナーの種類は、上記の3つです。
リテーナーの種類によって特徴が異なりますので、歯科医師とよく検討しましょう。
診察・管理の費用
保定期間の診察ごとにかかる費用は、1回あたり3,000円~5,000円です。定期的に歯科医師のチェックを受けることで、噛み合わせの変化や後戻りの有無を確認してもらえます。
保定期間は1~2年かかるのが一般的ですが、歯並びが安定すれば3ヵ月~6ヵ月に1回の通院でよくなるケースが多いです。
歯の矯正治療は保険適用の対象?

矯正治療は、基本的には保険適用ではありません。そのため、歯科医院によって費用が異なり、高額になる傾向にあります。
しかし、先天的な疾患や顎変形症、永久歯萌出不全などによる噛み合わせ異常の場合、保険適用と認められる場合があります。大人の方であっても、詳しく診察すると噛み合わせの異常が見つかり、保険適用と認められることもあります。
大人の歯の矯正にかかる費用について詳しく知りたい場合は、まずは歯科医師に相談しましょう。
歯の矯正治療にかかる費用負担を抑える方法

大人の歯の矯正治療にかかる費用負担を抑える方法は、以下の通りです。
部分矯正の検討
「すきっ歯が気になる」「突き出た前歯だけを治したい」などの場合、部分矯正を検討すると良いでしょう。矯正治療は、治療する歯の範囲や本数によって費用が変動します。
そのため、部分矯正を選択することで、費用を抑えられるでしょう。
ただし、部分矯正は噛み合わせの調整がない場合にしか行えません。
医療費控除の活用
矯正治療の費用を抑えたい場合、医療費控除を活用しましょう。医療費控除とは、1年間の医療費が10万円を超えた場合に受けられる税金の還付制度のことです。総所得金額が200万円未満の方の場合は、総所得金額の5%の金額を超えた場合に対象になります。
矯正治療の費用自体が安くなるわけではないものの、所得税・住民税の一部が還付されるため経済的な負担を抑えられます。
ただし、見た目をよくすることを目的とした矯正治療は、医療費控除の対象として認められません。医療費控除の可否については検査・診察のうえ判断するので、まずは歯科医師にご相談ください。
支払い方法の選択
矯正治療の費用を一括で用意するのが難しい場合、支払い方法を工夫すると良いでしょう。
<費用を抑えたい場合の支払い方法>
デンタルローン | クレジットカードの分割払い | 歯科医院の分割払い |
---|---|---|
歯科治療にのみ使えるローン払い一般的なローンに比べて金利が安い歯科医院によっては取り扱いがない | 2回~40回に分割払いが可能分割回数によって手数料が上乗せされる金利が高い | 金利や手数料がない歯科医院独自のシステムのため、取り扱いがない場合がある治療期間内に必ず払う必要がある期限が決まっているため1回の支払い金額が高くなる傾向がある |
デンタルローンや分割払いを選択することで、1回の支払い金額が定められ費用面の計画をたてやすくなります。
ただし、金利や手数料がかかり、トータルの費用が高くなることを理解しておきましょう。また、歯科医院によって取り扱いのない支払い方法もあるので注意が必要です。
まとめ

大人の歯の矯正治療にかかる費用は、20万円~180万円です。装置の種類や治療する範囲・本数によって費用は変動します。
また、歯科医院によっても料金設定が異なりますので、まずは気になる歯科医院でカウンセリングを受けるのがよいでしょう。
大人の方でも、ご自身の口元に自信が持てず、コンプレックスをお持ちの方は少なくありません。何歳からでも矯正治療はできますので、歯並びにお悩みの方はお気軽にご相談ください。
品川港南歯科・矯正歯科クリニックでは、痛みや施術時間を抑えながら自然な仕上がりの治療を目指しています。マウスピース矯正やセラミック治療、虫歯治療、ホワイトニングなどにも力を入れています。