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「口元が気になって笑顔に自信が持てない」と、出っ歯に悩んでいる方は多いです。大人になってから、子どものころに治せなかった歯並びを矯正する方も増えています。
「出っ歯をそのままにするとどうなるの」「費用はいくらかかるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、大人の出っ歯を矯正する方法や費用を解説します。出っ歯を放置するリスクも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
出っ歯になる原因

出っ歯(上顎前突)とは、上の前歯が下の前歯より前へ出ている状態のことです。具体的には、下の前歯よりも上の前歯が5mm以上前に出ている場合に診断されます。
出っ歯になる原因は、おもに2つ考えられます。
- 骨格などの遺伝的な要因
- 生活習慣やくせ
それぞれ詳しく解説します。
骨格などの遺伝的な問題
出っ歯には、顎の形や成長バランスが大きく関係しています。出っ歯の原因は、歯そのものよりも、その土台となる顎の形やバランスにあることが多いのです。
歯並び自体は遺伝しませんが、歯の大きさや形状、顎の骨格的なバランスは遺伝することがあります。そのため、ご両親、もしくは片親が出っ歯である場合、お子さまも骨格の特徴を受け継いで出っ歯になることがあります。
また、顎の大きさに対して歯が大きいと、きれいに並ぶことができず出っ歯になるケースがあります。歯が生えるスペースが足りないと、歯が前方へ押し出されて出っ歯になるのです。
生活習慣やくせ
子どものころからのくせや習慣が、出っ歯の原因になることがあります。1回行うだけでは大きな影響はありませんが、毎日長期間続くと、歯や骨に不適切な負荷をかけ続けるためです。
例えば、指しゃぶりの習慣が長く続くと、上の前歯に圧力がかかりやすく、少しずつ歯が前方に移動していきます。顎の形にも影響するため、上顎が前に成長することもあるので注意が必要です。
不自然な力が長期間加わると、歯並びや顎の発達に影響します。以下のような癖がないか確認しましょう。
- 舌で前歯を押す癖
- 舌を前歯で噛む癖
- 口呼吸をしている
- 口が開いている
- うつぶせ寝
- 爪を噛む癖
出っ歯をそのままにするリスク

出っ歯を放置すると、見た目だけでなくさまざまな影響が出てくることがあります。ここでは、出っ歯をそのままにするリスクを解説します。
嚙み合わせが悪化する
上の前歯が前に突出すると、上下の歯が正常に噛み合わなくなり、食べ物を正しく噛めなくなる可能性があります。噛み合わせが悪化すると、顎関節症や消化不良を引き起こしやすくなります。
噛み合わせは健康状態にも影響を与えるため、できるだけ早めに治療を行いましょう。
虫歯や歯周病になりやすい
出っ歯によって口が乾燥すると、虫歯や歯周病のリスクが増加します。出っ歯の状態では口を閉じづらく、口呼吸になりやすくなるからです。
口呼吸になると口の中が乾燥します。唾液には、お口の中を清潔に保ち、細菌の増殖を抑える役割がありますが、乾燥すると細菌が繁殖しやすくなり虫歯や歯周病のリスクが高まるのです。
また、出っ歯の場合は歯並びが悪いことが多く、歯ブラシが届きにくい部分ができます。口腔ケアが難しくなることも、虫歯や歯周病が発生しやすくなる要因となっています。
口臭が気になる
出っ歯により唇が完全に閉じづらくなると口呼吸が増加し、口臭にも悪影響を与えます。口呼吸によって口の中が乾燥すると、唾液の自浄作用が低下し細菌が繁殖して、強い口臭を発生させることがあるのです。
また、出っ歯により歯並びが不規則になると、歯ブラシが届きにくい部分ができ、歯垢や食べかすが残りやすくなります。これらが細菌の温床となり、口臭の原因になります。
見た目が悪くなる
出っ歯は、顔の正面や横顔の見た目に大きな影響を与えます。前歯が出ているので、口元が強調されるからです。
横顔は、鼻先と顎先を結ぶラインの内側に唇が納まっていると美しいとされていますが、出っ歯になると唇が前に出て、口元が盛り上がっているように見えます。「出っ歯が気になり自分に自信が持てない」という方も多く、コミュニケーションや表情が消極的になるケースもあります。
活舌が悪くなる
出っ歯の状態では前歯が前方に突出しているため、舌が動く空間が制限されます。特に、サ行やラ行などの発音には、舌先が上の前歯の裏に触れる必要がありますが、出っ歯の場合はこの動きがしづらくなります。
出っ歯により口が完全に閉じられないため、パ行やマ行などの発音が聞き取りづらくなることもあるでしょう。
生活をする上で会話は欠かせません。「あの人の会話は聞き取りづらい」と思われると、社会生活にも影響を及ぼす可能性があります。
大人の出っ歯を矯正する方法

大人でも出っ歯を矯正する方法があります。歯と顎の健康状態が良好であれば何歳でも治療できるので、60代以上の方も治療を行っています。大人の出っ歯を矯正する方法は、目的や状態に合わせて、おもに3つの方法があります。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正とは、ブラケットとワイヤーを使用し、歯を移動させる矯正方法です。出っ歯や受け口など、幅広い症例に対応できます。固定式で取り外しができないため、歯磨きがしづらく違和感を覚える方もいます。
ワイヤー矯正は、ワイヤーやブラケットが目立ちやすいデメリットがありますが、セラミックブラケットや裏側矯正を選べば、見た目への影響を抑えられます。
<ワイヤー矯正の種類と特徴>
ワイヤー矯正の種類 | 特徴 | メリット・デメリット |
---|---|---|
表側矯正 (金属ブラケット) | ・歯の表面に金属製のブラケットを装着 ・最も一般的な矯正方法 | ・様々な症例に対応可能 ・治療費が安い ・装置が目立つ |
表側矯正 (セラミックブラケット) | ・白色や透明のブラケットを用いた表側矯正 ・歯の色に近い素材なので目立ちにくい | ・金属ブラケットより目立ちにくい ・矯正効果は金属ブラケットと同等 ・金属ブラケットより高価 |
裏側矯正 | ・歯の裏側(舌側)にブラケットを装着 ・外からは見えない位置に装置を付ける | ・ほぼ装置が見えない ・表側矯正より治療費が高い ・舌の違和感が強い |
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、透明なマウスピースを使用し、歯を少しずつ動かす矯正方法です。段階的にマウスピースを交換しながら歯を移動させます。透明なので目立ちにくく、取り外せるので食事や歯磨きがしやすいメリットがあります。
マウスピース矯正は、軽度から中度の出っ歯に対応可能で、複雑な症例の場合は治療が難しい場合もあります。歯科医院でカウンセリングを受け、ご自身の出っ歯は治療可能か相談してみましょう。
外科的治療
出っ歯の原因が顎の骨のバランスである場合は、外科的治療が必要となります。骨の切除などを行うことで、前方へ突き出た口元を改善し、整った横顔を作ります。外科的治療を行う前や手術後に、上述したワイヤー矯正やマウスピース矯正を併用するケースが多いです。
手術後は痛みを伴い、入院が必要となるケースもあります。
大人の出っ歯矯正にかかる費用

大人の出っ歯を矯正するときにかかる費用は、歯並びの状態によって異なります。歯列矯正は基本的に自由診療となりますが、顎の骨を切るような外科的治療は保険が適用されることがあるので、歯科医院で相談しましょう。
分割払いやローンに対応している歯科医院も多いので、月々の負担を抑えながら治療を進められるでしょう。
<大人の出っ歯矯正にかかる費用・治療期間>
治療法 | 費用の目安 | 治療期間 |
---|---|---|
ワイヤー矯正 | 60~180万円 | 1~3年程度 |
マウスピース矯正 | 60~120万円 | 6ヶ月~3年程度 |
外科的治療 | 200~300万円 | 術前矯正:1~2年 入院・手術:2~3週間 術後矯正:6ヶ月~1年 |
矯正治療は長期間にわたるため、初期費用だけでなく、定期的なメンテナンス費用や治療後の保定装置の費用なども考慮することが大切です。
- 初診料・検査費用:1万円〜5万円
- メンテナンス:1回3,000円〜8,000円
- 保定装置(リテーナー):2万円〜5万円
まとめ

出っ歯を放置すると、見た目だけでなく、虫歯や歯周病、口臭などの原因になります。出っ歯を治すには、歯列矯正が効果的な選択肢です。
歯と顎が健康であれば何歳からでもできるので、大人になってからでも出っ歯は改善できます。大人の出っ歯を矯正する方法は、ワイヤー矯正、マウスピース矯正、外科的治療などがあり、それぞれに特徴があります。
歯の状態や予算に応じて、自分に合った矯正方法を選ぶことが大切です。
品川港南歯科・矯正歯科クリニックでは、痛みや施術時間を抑えながら自然な仕上がりの治療を目指しています。マウスピース矯正やセラミック治療、虫歯治療、ホワイトニングなどにも力を入れています。