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インビザライン治療で使用するマウスピースの交換周期は、1~2週間です。交換周期は、症例や患者さまの年齢、装着時間によって変動します。
今回は、インビザライン治療で使用するマウスピースの交換周期や、交換する際の注意点などを詳しく解説します。
インビザライン治療で使用するマウスピースの交換周期
インビザライン治療で使用するマウスピースの交換周期は、一般的に1~2週間です。1枚のマウスピースで動かせる歯の距離が最大0.25mmなので、頻繁に交換する必要があります。
交換周期は、患者さまの年齢や歯の動かし方、マウスピースの装着時間などによって変動するため、個人差が大きいです。1週間未満での交換が可能な場合もあるでしょう。
マウスピースの交換周期を決める要素
上述しましたが、マウスピースの交換周期は年齢や歯の動かし方などで変動します。マウスピースの交換周期を決める要素は、以下のとおりです。
装着時間
インビザライン治療では、1日20~22時間マウスピースを装着しなければなりません。装着時間が短い場合や、装着を忘れることが多い場合、治療が計画どおりに進まないでしょう。マウスピースの交換周期が延びる可能性があります。
治療をスムーズに進めるには、装着時間を厳守することが重要です。
歯の動かし方
歯の移動方法によって、マウスピースの交換周期は異なります。矯正治療では、簡単に動かせる症例と、時間をかけて治療する必要がある症例が存在するのです。
例えば、歯と歯のすき間を埋める際は歯体移動という手法が用いられます。歯体移動では、歯を傾けずに歯全体を平行移動させるため、治療には時間がかかり、マウスピースの交換周期が長くなることが多いです。
年齢
矯正治療は、骨の新陳代謝を利用して歯を徐々に動かします。歯や骨に悪影響を及ぼさないよう、過度な負荷をかけることは避け、患者さまの新陳代謝のペースに合わせてマウスピースの交換周期を調整します。
若い人は新陳代謝が活発で歯が速く動くため、マウスピースの交換周期も短くなることが多いです。
マウスピース交換における注意点
マウスピースの交換は、患者さまが行います。
しかし、交換時にトラブルが発生することもあるでしょう。以下、マウスピース交換における注意点を解説します。
自己判断で交換日を調整しない
マウスピースの交換周期は、歯科医師の総合的な判断によって決められます。治療を早く進めたいからと、自己判断で交換日を調整することは避けてください。
自己判断で交換日を調整すると、適切な矯正力がかかりません。過度に矯正力がかかることで、歯根や歯周組織にストレスがかかり、歯根や歯肉に悪影響を及ぼす危険性があります。
マウスピースの順番を守る
インビザライン治療では、マウスピースを装着する順番が厳密に定められています。誤った順番でマウスピースを装着しようとすると、しっかりフィットしないでしょう。
新しいマウスピースに交換する際は、必ず正しい順番かどうか確認してください。
交換したマウスピースをすぐに捨てない
マウスピースを破損・紛失した場合、再作成が必要になることがあります。新しいマウスピースが完成するまでは、一つ前のマウスピースを装着して対応することが多いです。何も装着せずに過ごすと、歯がもとの位置に戻る後戻りが起きるためです。
万が一の事態に備えて、一つ前のマウスピースは保管しておきましょう。
異常を感じたら歯科医院に連絡する
インビザラインのマウスピースは、アメリカのアライン・テクノロジー社で製造されています。製造過程でマウスピースに尖った部分が残ることがあり、不快感や痛みをおぼえる場合があります。自分でカットする、削るなどは避け、歯科医院に連絡して指示をもらいましょう。
マウスピースを交換した直後は、痛みが出やすい時期です。通常2~3日目をピークとし、徐々に痛みは軽減します。痛みが強い場合や長引く場合は、歯科医院に連絡しましょう。
痛みや違和感がなくても、新しいマウスピースがしっかりとフィットしないときは注意してください。マウスピースの装着時間が短いことや歯の後戻りなどが原因で、歯が予定の位置に移動していない場合、正しい交換周期で交換しても、新しいマウスピースが合わないことがあります。一つ前のマウスピースを装着して後戻りを防ぎながら、早めに歯科医院へ相談することが重要です。
インビザラインの治療期間が延びる原因
インビザラインの治療期間が延びる原因は、以下のとおりです。
マウスピースの装着時間が短い
マウスピースの装着時間が短いと、歯の移動が遅くなる可能性や、後戻りが発生する可能性があります。治療計画の見直しや新たなマウスピースの作成が必要になることもあり、治療期間が延びるでしょう。追加で費用が発生することも考えられます。
1日20~22時間マウスピースを装着することを心がけましょう。
マウスピースを破損・紛失した
マウスピースは予備がないため、紛失・破損した場合は再作成が必要となります。外出時は専用のケースを持ち歩き、マウスピースを外した際は必ずケースで保管してください。旅行時などは、一つ前のマウスピースを予備として持参するとよいでしょう。
食事の際は、マウスピースを必ず外してください。マウスピースの装着中は、常温または冷たい水以外の摂取は避けましょう。特に、熱い飲み物を飲むと、マウスピースが変形する可能性があるので避けてください。
虫歯や歯周病になった
マウスピース装着中の飲食は禁止されています。マウスピースの変色や破損を避けるだけでなく、口腔内の衛生を保ち、虫歯や歯周病のリスクを減らすためです。また、食事の際にマウスピースを取り外した場合、再装着前に歯磨きを行わなければなりません。
インビザライン矯正治療中に虫歯になった場合、矯正治療が中断されます。大規模な虫歯治療が必要な場合は、治療によって歯の形が変わるでしょう。マウスピースの再作成が必要となり、治療期間が延びる可能性があります。
インビザライン治療を計画どおりに進めるために心がけること
インビザライン治療を計画どおりに進めるには、治療上のルールを守ることが非常に重要です。注意すべきポイントを解説します。
マウスピースの装着時間を守る
歯は、マウスピースを装着している間のみ移動します。インビザライン治療を計画どおり進めるには、食事や歯磨きのとき以外は、常にマウスピースを装着していなければいけません。
歯の移動時間を最大限に確保することで、計画どおりに治療を進められるでしょう。
チューイーを使用する
チューイーとは、シリコンでできたロール状の道具です。マウスピースをより歯に密着させるために使用します。
マウスピースは、歯を理想的な位置に向かわせるよう、もとの歯並びとは少しずらして作られます。そのため、特に新しいマウスピースに交換した際は、フィットしにくく浮くことが多いです。
チューイーを噛むことで、マウスピースを適切にフィットさせられます。毎日20~30分程度、チューイーをガムのように噛むと、治療をスムーズに進められるでしょう。
口腔ケアを怠らない
インビザライン治療中は、硬い食べ物を避け、食事の際はマウスピースを外すことが重要です。マウスピースの破損を防ぎ、虫歯や歯周病のリスクを低減させるためです。
食後は必ず歯磨きを行いましょう。インビザラインも流水で清潔に保ち、必要に応じて歯ブラシで優しく磨いてください。インビザラインを傷つけないために、歯磨き粉の使用は避けましょう。
まとめ
インビザライン治療で使用するマウスピースの交換周期は、1~2週間です。交換周期は症例によって異なるだけでなく、年齢や装着時間にも左右されます。
治療を計画どおり進めるには、マウスピースの装着時間を守ることが重要です。ワイヤー矯正と異なり、マウスピースは取り外せるので、外している時間は歯が移動しません。外している時間が長いと、後戻りする可能性もあります。
インビザラインは、自己管理が重要な治療です。1日20~22時間マウスピースを装着してください。余計な治療を増やさないために、食後の歯磨きやマウスピースのお手入れも欠かさず行いましょう。