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「インプラントがあるけれど、歯並びをきれいにするためにインビザライン治療を受けたい」と思う方もいるでしょう。
インプラントは天然歯に近い見た目と機能性を得られることから、非常に人気が高まっています。インビザライン治療で歯並びも整えられれば、患者さまには大きなメリットとなります。
しかし、インプラントは動かすことができないため、インビザラインでの治療が可能かどうかは患者さまによって異なるでしょう。
今回は、インプラントがある状態でインビザライン治療を受けられるのか解説します。ぜひ参考にしてください。
インビザラインとは?
インビザラインは、米国のアライン・テクノロジー社が開発した歯科矯正システムです。日本でも多くの歯科医院が取り扱っている治療方法で、透明のマウスピースを歯に装着して歯並びを整えます。
ワイヤー矯正のほうが幅広い症例に対応できますが、インビザラインは治療中であることが目立ちにくく、取り外せることから多くの方に選ばれています。口腔内を清潔に維持しやすく、治療中の痛みもワイヤー矯正よりも少ないので、日常生活に支障をきたさないのです。
全体的な歯並びの治療だけではなく、気になる一部分だけの部分矯正も可能です。部分矯正の場合は、数か月で治療が完了します。
インビザラインの費用の相場は、全体矯正では700,000~1,200,000円、部分矯正では200,000~500,000円程度です。自由診療なので、歯科医院によって費用は異なります。
インプラントとは?
インプラントとは、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根を埋入し、人工歯を被せて口腔機能を改善する治療です。顎の骨に人工歯根を埋入するため、ご自身の歯のようにしっかり噛めるようになることが特徴でしょう。
見た目も天然歯とほとんど変わりません。ブリッジや入れ歯と比較して見た目がよく安定感もあるので、多くの方に選ばれています。
ただし、人工歯根を埋入する際に手術を行うため、患者さまへの負担は少なくありません。手術によるリスクが高い患者さまは、受けられないこともあります。
インプラントは自由診療なので、歯科医院によって費用が異なります。費用の相場は、1本あたり250,000~500,000円です。
使用する人工歯根や被せ物の種類、骨造成の有無などによって費用が変動するので、事前のカウンセリングで説明を受けましょう。
また、インプラントは埋入したら終わりではなく、定期的にメンテナンスを受ける必要があります。定期検診を受けていなければ、トラブルが起こった際の再治療を無料で受けられないとする歯科医院も多いほど、治療後のメンテナンスは重要です。
インプラントがあってもインビザライン治療はできる?
インプラントがある状態で、インビザライン治療は受けられるのでしょうか。基本的には、インプラントがあってもインビザライン治療は受けられます。
しかし、インプラントは動かせません。インビザラインを含む矯正治療では、天然歯しか動かせないのです。
そのため、以下の症例はインビザラインでは治療できません。
インプラントを中心に歯を動かしたい症例
例えば「前歯の出っ歯が気になるから、前歯全体を引っ込めたい」と感じている症例の場合、奥歯の1本がインプラントでも問題ありません。
しかし、前歯の1本がインプラントの場合は、前歯をインビザラインで動かせません。前歯全体を引っ込めることは不可能です。
インプラントを移動させたい症例では、人工歯の形状を調整して歯が少しでも理想に近い位置にあるように見せます。歯の角度を修正する程度までなら対応できますが、埋入された歯根は動かせないので大きな位置の修正は難しいでしょう。
インプラントの本数が多い症例
インプラントの本数が多いということは、動かせない歯が多くなるということです。そのため、インビザラインの治療は難しいでしょう。
前歯の歯並びだけを改善したい場合でも、前歯を移動させるスペースを確保するために、ほかの歯を移動させなければならないことがあります。インプラントの本数が多いほど適切な位置にスペースを確保することが難しくなるので、インビザライン治療ができない可能性が高いでしょう。
顎の骨が足りない症例
インビザラインに限らず矯正治療では、矯正治療によって歯にかけられる負荷によって、骨の量が減る危険性があります。そのため、顎の骨の状態によってはインビザライン治療ができないことがあるのです。
インプラントも顎の骨が重要な治療であり、顎の骨の量が不足するとグラグラするなどのトラブルにつながります。顎の骨が不足すると、インプラントが脱落する可能性もあるでしょう。
インビザラインによって顎の骨の量が減った場合、インプラントを維持できなくなる可能性があると判断された症例では、インビザライン治療は受けられません。
インプラントがある状態でインビザライン治療をするメリット
インプラントがある状態でインビザライン治療をすると、特定の条件下ではメリットをもたらす可能性があります。インプラントは動かせないので、固定点として利用して天然歯を動かすことが可能なのです。
インプラントを固定点として利用できれば、ほかの歯を効率的に動かせます。インプラントがない場合と比較すると、治療期間を短縮できる可能性があるでしょう。
また、インプラントを利用することで、抜歯を避けて矯正治療を進められる場合もあります。
インプラントがある状態でインビザライン治療をするデメリット・注意点
インプラントがある状態でインビザライン治療を受ける際のデメリットや注意点は、以下のとおりです。
理想の歯並びにならないことがある
上述しましたが、インプラントは矯正治療では動かせません。インプラント以外の天然歯を動かして歯並びを整えるため、理想とする歯並びを目指せないこともあるでしょう。
動かせる歯のみを移動して、現状で目指せる最善の歯並びを実現することが、インプラントがある方がインビザライン治療を受ける際のゴールになります。
インプラントの噛み合わせが悪化することがある
インプラントがある状態でインビザライン治療を受ける場合、上下の噛み合わせが悪化する可能性があります。インビザライン治療によって噛み合わせの歯を動かしても、インプラントは動かせないためです。
インプラントの人工歯を調整するだけで対応可能な場合もありますが、再治療が必要になることもあるでしょう。
インプラントの再治療とは、新たな人工歯根の埋入や、歯根部分の再構築が含まれます。再び治療期間や費用が発生するので、患者さまの負担は非常に大きいでしょう。
すでにインプラント治療を受けている場合は、治療計画を慎重に立てる必要があります。矯正治療による歯の動きと、動かせないインプラントの噛み合わせを考慮しなければなりません。
詳細な計画と慎重な調整が求められるため、治療を開始する前に歯科医師としっかり相談しましょう。
まとめ
今回は、インプラントがある状態でインビザライン治療を受けられるのか解説しました。
インビザライン治療は、インプラントがあっても受けることが可能です。
しかし、いくつかの注意点があります。まず、インプラントは動かせないことを理解する必要があるでしょう。そのため、インプラントの位置を考慮してインビザラインの治療計画を立てることが重要です。
インプラントを固定点として利用することで、ほかの歯を効率よく動かせることもあります。ご自身の理想や目指せる歯並びを歯科医師に伝え、相談しながら治療を受けるか検討しましょう。 重要なのは、インビザライン治療がインプラントに与える影響を十分に理解することです。インプラントの再治療の可能性や負担、費用、治療期間などを含めて検討してください。