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歯ぐきの腫れや出血、口臭などの症状が現れる歯周病は、放置すると歯を支える骨が溶けてしまい、最終的には歯を失う原因にもなりかねません。歯周病は日本人の多くがかかっているとされる身近な病気ですが、日々の生活習慣や食べ物によって予防が可能です。
バランスの良い食事は、歯や歯ぐきの健康を保ち、歯周病の進行を防ぐ大切な要素のひとつです。
この記事では、歯周病の基礎知識から、予防に効果的な食べ物、反対に注意が必要な食材についてもわかりやすく解説します。毎日の食生活を見直すことで、口腔環境をより健康に保てます。
歯周病とは

歯周病とは、歯と歯ぐきの間に溜まった歯垢(プラーク)に潜む細菌が引き起こす、歯ぐきや歯を支える骨の病気です。
初期段階では歯肉炎と呼ばれ、歯ぐきが赤く腫れたり、歯磨きの際に出血するなどの軽い症状が見られます。この段階で適切なケアをすれば回復は可能ですが、放置すると炎症が進行し、歯を支える骨や組織が破壊されていきます。
歯を支える骨や歯茎にまで炎症が進行した状態を歯周炎と呼び、進行すると歯がグラつき、最終的には自然に抜けることもあります。
歯周病の大きな特徴として、痛みや違和感があまりないまま進行していくことが挙げられます。自覚症状が乏しいため、気づいたときには重症化しているケースも少なくありません。
また、歯周病は口の中だけでなく、糖尿病や心疾患、誤嚥性肺炎など全身の健康にも関わることが近年の研究で明らかになってきています。
歯周病は、毎日のセルフケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスにより、予防と早期発見が可能です。そのなかでも、日々の食生活は重要な予防要素の一つといえます。
歯周病の予防に役立つ食べ物

歯周病を予防するためには、口内環境を整える栄養素を意識的に摂取することが大切です。以下では、歯ぐきの健康を保ち、歯周病の進行を防ぐのに役立つ代表的な食べ物とその効果を紹介します。
ビタミンCを多く含む野菜や果物
ビタミンCは、歯ぐきの健康維持に欠かせない栄養素です。コラーゲンの生成を助け、歯ぐきの血流を改善し、炎症を抑える効果があります。不足すると歯ぐきが弱くなり、出血や腫れが起きやすくなります。
代表的な食材には、ブロッコリー、キウイフルーツ、みかんなどがあります。特に、生で食べられる果物や野菜は、咀嚼による唾液の分泌も促され、口内の自浄作用も高まります。
カルシウムを含む乳製品や小魚
カルシウムは、歯や骨の健康を保つうえで非常に重要な栄養素です。歯を支える顎の骨が弱くなると、歯周病が進行しやすくなります。牛乳、チーズ、ヨーグルト、ししゃも、いわしなどを意識的に取り入れるようにしましょう。
乳製品には乳酸菌も含まれており、口内の悪玉菌の増殖を抑える働きがあるとされています。ヨーグルトなど無糖タイプを選ぶことで、虫歯予防にもつながります。
繊維質の多い野菜や海藻類
食物繊維が豊富な食品は、噛む回数を増やすことで唾液の分泌を促し、プラーク(歯垢)の除去にも役立ちます。さらに、腸内環境の改善を通じて免疫力の向上も期待できます。
ごぼう、れんこん、にんじん、ひじき、わかめなどは、調理の工夫次第で手軽に取り入れられます。食事全体のバランスも良くなるため、毎日の食卓にぜひ加えたい食品です。
抗酸化作用のある緑茶・ナッツ類
緑茶に含まれるカテキンには強い抗菌作用があり、歯周病菌の増殖を抑える働きがあるとされています。また、アーモンドやクルミといったナッツ類にはビタミンEやミネラルが豊富で、細胞の老化防止や血行促進にもつながります。
甘く味付けされたナッツではなく、無塩・無糖のものを選ぶのがポイントです。
お口の中の環境を悪化させる可能性がある食べ物

歯周病の予防には、口内環境を整えることが不可欠です。
しかし、日常的に摂取している食べ物の中には、歯垢(プラーク)の増加や細菌の繁殖を助長し、歯ぐきの炎症を引き起こすものもあります。ここでは、注意したい食べ物とその理由を紹介します。
糖分を多く含む甘いお菓子や飲料
砂糖は、歯周病の原因菌のエサとなり、歯垢を増やす大きな要因です。ケーキ、チョコレート、飴、炭酸飲料、清涼飲料水などを頻繁に摂ると、口内が酸性に傾き、細菌の繁殖が活発になります。
特に、ダラダラ食べや頻繁な間食は、唾液の自浄作用が間に合わず、歯ぐきにとって悪い環境が続くことになるため注意が必要です。甘い物を食べた後は、早めのうがいや歯みがきで口の中をリセットすることを心がけましょう。
粘着性のある食品
キャラメルやグミ、ドライフルーツなど、歯にくっつきやすい粘着性のある食品も歯周病を進行させる要因となります。これらは歯と歯ぐきの間に残りやすく、取り除きにくいため、プラークがたまりやすくなります。
食後すぐに歯みがきができない場合は、口をよくゆすいだり、水やお茶を飲むなどして、食べかすを口に残さない工夫が必要です。
酸性度の高い食べ物・飲み物
レモンやグレープフルーツといった柑橘類、酢の効いた料理、スポーツドリンクなどは酸性度が高く、歯の表面(エナメル質)を溶かすリスクがあります。歯の表面が弱ると、歯ぐきにも悪影響を及ぼしやすくなり、歯周病が進行しやすい環境をつくります。
アルコールやカフェインを多く含む飲料
アルコールやカフェインには利尿作用があり、体内の水分を奪うことで口の中が乾きやすくなります。唾液の分泌が減ると、細菌の増殖を抑える働きが弱まり、口臭や歯周病のリスクが高まります。
特に、就寝前にこれらの飲料を摂取すると、睡眠中の唾液分泌が少なくなり、口腔内環境がさらに悪化する恐れがあります。コーヒーやお酒を摂る際は水分補給も意識し、適量を心がけることが大切です。歯ぐきの健康を守るためには、日常的に口の中を潤す工夫も重要です。
歯周病を予防するために食事以外で大切なこと

歯周病の予防には、毎日の食生活に加えて、正しいセルフケアと定期的な歯科受診が欠かせません。ここでは、食事以外で歯周病を予防するために心がけたいポイントを紹介します。
正しい歯みがきの習慣を身につける
どんなに栄養バランスの良い食事をとっていても、歯垢(プラーク)をしっかり落とせていなければ歯周病のリスクは下がりません。予防の基本は、毎日の丁寧な歯みがきです。
歯ブラシは毛先が広がっていないものを選び、1本1本の歯を意識して小刻みに磨くようにしましょう。歯と歯ぐきの境目、奥歯の後ろ、歯並びが悪い箇所などは汚れが残りやすいため、意識的に丁寧に磨く必要があります。
また、歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシなども活用し、歯と歯の間の汚れも除去しましょう。
定期的な歯科検診とクリーニング
目に見える汚れは自分で落とせても、歯周ポケットの奥にある歯石やプラークは歯科医院でしか取れません。自覚症状がないまま進行することも多いため、3〜6ヶ月に一度は定期検診を受け、プロによるクリーニングや歯周病のチェックを受けることが大切です。
歯科医院では、歯ぐきの状態を専用の器具で測定したり、レントゲンで歯の根の状態まで確認できるため、早期発見・早期対処につながります。
禁煙を意識する
タバコに含まれる有害物質は、血流を悪化させて歯ぐきの炎症を悪化させるといわれています。また、喫煙者は歯ぐきが腫れにくく出血もしにくいため、歯周病の発見が遅れる傾向にあります。加えて、喫煙者の場合は治療をしても効果が出にくく、進行スピードが非喫煙者より速いともいわれています。
歯周病予防の観点からも、禁煙は非常に有効な手段です。自身の健康のためにも、今から少しずつ禁煙に向けた準備を始めるのも良いでしょう。
ストレスや睡眠不足の管理も重要
ストレスが溜まると免疫力が低下し、体が細菌に対してうまく抵抗できなくなることがあります。また、睡眠不足は唾液の分泌を減らす要因にもなり、口内の浄化作用が弱まります。唾液は口内の細菌を洗い流し、歯や歯ぐきを守る重要な役割を果たしています。
慢性的なストレスや睡眠不足が続くと、歯周病が進行しやすくなるため、心身の健康管理も意識的に行いましょう。リラックスできる時間を作ったり、質の良い睡眠を確保することが、歯ぐきの健康を守る一助になります。
まとめ

歯周病は、初期段階では自覚症状が少なく、気づかないうちに進行していくことのある病気です。
しかし、日頃の食生活や口腔ケアの習慣を見直すことで、予防できます。ビタミンやミネラル、良質なタンパク質を意識的に摂取し、逆に糖分や粘着性の高い食品の摂りすぎには注意しましょう。
また、喫煙やストレス、睡眠不足など、生活習慣全体の見直しも歯周病予防に大きく関わります。歯と歯ぐきの健康は、全身の健康とも深く関係しています。将来の自分のためにも、今日からできる予防を始めてみましょう。
品川港南歯科・矯正歯科クリニックでは、痛みや施術時間を抑えながら自然な仕上がりの治療を目指しています。マウスピース矯正やセラミック治療、虫歯治療、ホワイトニングなどにも力を入れています。