親知らずは必ず抜かなければならないわけではありません。痛みや腫れを起こしている場合や、周囲の歯に悪い影響を与える可能性が高い場合には、抜くことが推奨されます。
抜歯をする場合の治療費は一律ではないことをご存じでしょうか。歯の状態によって費用が異なり、場合によっては費用が高くなることもあります。
ここでは、親知らずを抜く費用の目安や、費用が高くなるケースなど、親知らずを抜く費用について解説します。
親知らずを抜く理由

親知らずは大人になってから生える最後の歯で、真っすぐに生えることが少ないのでトラブルが起こりやすいです。親知らずの抜歯は必須ではありませんが、場合によっては抜くことが推奨されます。
親知らずを抜く理由は、以下の通りです。
痛みや腫れがある
親知らずに痛みや腫れがある場合、症状を改善するために抜くことが推奨されます。親知らずは一番奥に生えるため手入れが難しく、虫歯や歯周病になるリスクが高いです。
虫歯や歯周病によって痛みや腫れが出ていれば、周囲の歯にも影響する可能性があるので抜歯をしたほうがいいと判断されるのです。
また、親知らずの周囲が細菌感染する智歯周囲炎を起こすこともあります。この場合も、抜歯を検討します。
歯並びに影響するリスクが高い
親知らずは、斜めや横向きに生えてくることが多いです。斜めや横向きに生えると手前にある歯を押すため、歯並びが徐々に悪くなります。また、手前の歯を親知らずが押すことで、歯の根っこが溶かされて歯並びが悪くなるケースもあります。
こうした場合は、将来的な歯並びを考えて抜歯が推奨されます。
歯列矯正をする
親知らずがあっても歯列矯正をすることはできますが、場合によっては親知らずの抜歯が必要です。歯並びに親知らずが影響を及ぼしている場合や、親知らずを抜くことで歯を動かすスペースを作りたい場合には抜歯します。
嚢胞や腫瘍ができている
埋没している親知らずには、嚢胞や腫瘍ができるリスクがあります。嚢胞や腫瘍は放っておけば顎の骨に影響することもあるため、抜歯が推奨されます。
親知らずを抜く費用の目安

親知らずを抜く費用は、親知らずの生え方によって異なります。親知らずの生え方別に、費用の目安を確認しましょう。
真っすぐに生えている場合
親知らずが真っすぐに生えている場合、抜歯しやすい状態なので費用は抑えられます。
・保険診療:1,000円前後
・自由診療:5,000円前後
親知らずが歯茎から出ていて視認でき、真っすぐに生えている状態の費用相場です。
斜め・真横に生えている場合
親知らずが斜め、もしくは真横に生えている場合、真っすぐに生えている場合に比べると費用は高くなります。
・保険診療:3,000円~5,000円
・自由診療:1万円~2万円
高額になる理由は、抜歯が困難になるからです。レントゲン検査なども行う必要があり、親知らずの状態を調べてから抜歯を行います。
歯茎に埋まっている場合
親知らずが埋まっている状態の場合、顎の骨を削って親知らずの頭を出してから抜歯を行います。
・保険診療:3,000円~5,000円
・自由診療:1万円~2万円
一般的に抜歯にかかる時間は30~60分ほどですが、抜歯が困難な状態の場合は60分以上かかることもあります。
親知らずを抜く費用以外にかかる料金

親知らずを抜く場合、抜歯の処置費用以外にも診療費などさまざまな費用がかかります。抜歯以外にかかる費用の内訳も把握し、治療を受ける際には少し多めに金額を準備しておくとよいでしょう。
診療費
親知らずや口腔内の状態を確認するための診察にかかる費用です。歯科医院の初診料は厚生労働省より2,640円と決められており、保険が適用されれば200円~800円になります。再診料の場合は530円になるため、保険適用で150円ほどです。
検査費用
親知らずの位置などを詳しく把握するために、CTやレントゲン検査を行います。検査費用は保険適用の場合で3,000円が目安になります。
消毒や抜糸の費用
抜歯の際に行う消毒や、抜歯後の抜糸にも費用がかかります。500円程度が目安でしょう。
麻酔費用
抜歯では麻酔を行います。部分麻酔の場合は保険適用で1,000円~3,000円程度です。
複雑な抜歯で入院を伴う場合、全身麻酔をするため5万円~10万円と高額になります。
入院費用
全身麻酔が必要な抜歯では、入院費用が発生します。入院費用は1万円~1万5,000円が相場です。
薬代
抜歯の処置後に処方される痛み止めや抗生物質などの薬代です。費用は500円~1,000円が目安です。
虫歯治療
親知らずやその周囲で虫歯があれば、虫歯治療も行います。虫歯治療の費用は、保険診療で1,000円~1万円が相場です。
初期の虫歯であれば費用を抑えられますが、虫歯の重症度が高いほど費用が高額になります。
歯周病治療
親知らずの抜歯の際に歯周病治療も必要だと判断された場合は、歯周病治療も行います。歯周病の治療費用は保険診療で5,000円~1万円が相場です。
虫歯治療と同様に、歯周病が進行しているほど治療が複雑になるので費用も高くなります。
親知らずを抜く費用は保険適用の対象となる?

親知らずを抜く費用が保険適用になるか否かによって、費用は大きく異なります。保険が適用されれば1〜3割負担ですが、自費診療ならば全額自己負担です。
親知らずを抜く費用が保険適用の対象になるかどうかの基準は、抜歯の目的によって異なります。
保険が適用されるケース
親知らずに限りませんが、保険が適用されるかどうかの基準は、治療を必要とする症状があるか否かです。原則的に、親知らずの抜歯には保険が適用されます。
親知らずが原因で虫歯や歯周病などが進行しているケースや、他の歯に影響を及ぼしているケースでは、治療のために抜歯が必要と判断されるためです。
自費診療になるケース
親知らずを抜く費用が自費診療になるケースは、大きく分けると2種類です。
1つ目は、保険診療で対応していない薬剤や治療機器を使用した場合です。抜歯後の痛みや腫れを最小限に抑えられる反面、保険が適用されないので費用の負担が増加します。
2つ目は、矯正治療目的で抜歯を行う場合です。矯正治療には基本的に保険が適用されず、それに付随する処置も自費診療になります。
親知らずを抜く費用が高くなるケース

親知らずを抜く費用の目安や内訳などについて解説してきましたが、親知らずを抜く費用は患者さまによって異なります。中でも、親知らずを抜く費用が高くなるケースは以下の通りです。
複雑な生え方をしている場合
まっすぐに生えている親知らずを抜く処置は、容易なので費用が安価です。横向きや斜め、歯茎に埋まっているなど、複雑な生え方をしている場合は処置が難しくなるため、費用も高くなります。
全身麻酔と入院が必要になるようなケースなら、より費用は高額になります。
抜歯以外の治療が必要な場合
抜歯以外にも、虫歯や歯周病など他の治療が必要になれば、その分の治療費が加算されます。虫歯や歯周病は、状態が悪化しているほど治療回数が増え、費用も高くなります。
親知らずだけではなく他の歯の抜歯も必要になれば、治療後に義歯が必要になるためより費用は高くなるでしょう。
自費診療を選択した場合
親知らずの抜歯には一般的に保険が適用されますが、治療方法や使用する薬剤によっては自費診療になります。痛みや腫れを最小限に抑えるために自費診療を選択すれば、費用は高くなります。
また、矯正治療に伴う抜歯には保険が適用されず、自費診療になります。
まとめ

親知らずを抜く費用は、親知らずの生え方や口腔内の状態、治療方法などによって異なります。抜かなくてもいいケースもあるため、まずは歯科医院でカウンセリングを受けて抜歯の必要性と抜歯をする際の費用について相談しましょう。
親知らずを抜かなくてはいけないにも関わらず放置すれば、周囲の歯に影響を及ぼす可能性があります。抜いたほうがいいと判断された親知らずは、放置せずに早めに抜いたほうがいいかもしれません。
品川港南歯科・矯正歯科クリニックでは、痛みや施術時間を抑えながら自然な仕上がりの治療を目指しています。マウスピース矯正やセラミック治療、虫歯治療、ホワイトニングなどにも力を入れています。