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「虫歯が痛くて眠れない」と悩んだことがある方は少なくないでしょう。日中は我慢できる程度だった歯の痛みが、夜になると急に強く感じられ、寝つけなかったり、何度も目が覚めたりすることがあります。
虫歯による歯の痛みは、ただ不快なだけではなく、睡眠の質にも大きな影響を与え、心身の健康を損なう原因にもなりかねません。では、なぜ虫歯の痛みが夜に強くなるのでしょうか。そして、痛みで眠れないときにはどうすればよいのでしょうか。
この記事では、虫歯の痛みが夜に増す理由や、痛みによって眠れないときの対処法、さらに虫歯以外に考えられる歯痛の原因について詳しく解説していきます。夜間の歯の痛みに悩まされている方にとって、少しでも安心できる情報をお届けできれば幸いです。
眠るときに虫歯が痛くなる原因

昼間はそれほど痛くなかったのに、夜になると虫歯の痛みが強くなるという経験をしたことはありませんか。眠ろうと横になったとたんにズキズキと痛み出し、眠気を妨げられるのは、誰にとっても不快な経験です。
虫歯の痛みが夜間に強くなるのには、体の働きや生活リズムが深く関係しています。この章では、眠るときに虫歯が痛くなる主な原因を、いくつかの観点から詳しく解説していきます。
血流が増加するから
横になると、重力の影響で体全体への血流の分布が変わり、頭部への血流が増えるようになります。血液が虫歯のある部分に多く流れることで、その周辺の炎症が強まり、神経が刺激されやすくなります。その結果、横になったタイミングで歯の痛みが増すのです。
特に、神経まで達している虫歯では、血流の変化によって一気に痛みが激しくなることがあります。
静かな環境だから
夜になると周囲が静かになり、視覚や聴覚などの外的刺激が減ります。そのため、日中は気にならなかった痛みに意識が集中しやすくなり、痛みをより強く感じることがあるのです。
テレビや会話、作業などに気を取られている日中とは異なり、寝室で静かにしている時間帯は、痛みの存在が浮き彫りになりやすいです。
寝る直前に飲食しているから
就寝前の食事や飲み物も、虫歯の痛みを悪化させる原因のひとつです。冷たい水や甘いデザート、アルコールなどは虫歯部分の神経を刺激するため、歯がしみたりズキズキしたりしやすくなります。
また、これらの刺激が原因で歯の炎症が進行し、痛みが長引くこともあります。寝る直前に飲食する習慣がある人は注意が必要です。
虫歯が神経に達したから
痛みが夜間に限らず繰り返し起こるような場合、虫歯が神経まで到達している可能性が高いです。この段階になると自然治癒は望めず、歯科医院での治療が必須となります。神経が炎症を起こしていると、寝ている間も断続的に痛みが続き、眠りを妨げることがあります。
虫歯になった歯が痛くて眠れないときの対処法

虫歯の痛みで眠れないと、体も心も疲弊します。
しかし、すぐに歯医者に行けない夜間や休日などには、まず自宅でできる応急処置を行い、痛みを和らげることが大切です。ここでは、夜間に虫歯の痛みが襲ってきたときの対処法をいくつかご紹介します。いずれも一時的な方法ですが、眠りを取り戻すための手助けになります。
痛み止めを正しく服用する
虫歯が痛くて眠れない場合、まず効果的なのは鎮痛剤を服用することです。鎮痛剤は、炎症を抑え、痛みを一時的に軽減してくれます。
ただし、用法・用量を守り、空腹時の服用は避けるようにしましょう。また、薬の効果には個人差があるため、効かない場合には薬剤師に相談してください。
頭の位置を高くして寝る
痛みを和らげるために、寝る姿勢を工夫するのも有効です。枕をいつもより高くし、頭を心臓より高い位置に保つことで、頭部への血流が減少し、炎症部位の圧迫がやわらぎます。特に、ズキズキと脈打つような痛みには、姿勢調整が効果的とされています。
冷やして炎症を鎮める
頬の外側から冷たいタオルや保冷剤で冷やすと、痛みを抑えられる可能性があります。直接氷を当てるのではなく、タオルなどに包んで使用し、15〜20分程度を目安に冷却しましょう。
ただし、虫歯の状態によっては冷たさが逆に痛みを誘発する場合もあるため、冷やしすぎには注意が必要です。
食べ物や飲み物を見直す
就寝前の飲食習慣も痛みに関わるため、控えることが望ましいです。特に糖、分の多いもの、冷たいもの、アルコールなどは歯を刺激し、虫歯の悪化を招く可能性があります。歯磨きをしっかり行った後は、できるだけ何も口にしないことが理想です。
歯を清潔に保つ
寝る前の丁寧な歯磨きは、虫歯の進行を食い止める基本です。すでに痛みがある場合は、痛みのある部分に触れすぎないよう注意しながら、周囲の歯垢や食べかすを除去しましょう。殺菌効果のあるマウスウォッシュを併用するのも効果的です。
虫歯以外に考えられる歯が痛くなる原因

歯の痛みは虫歯が原因だと考えられることが多いですが、実は虫歯以外にも歯が痛む原因は複数あります。虫歯の治療を受けても痛みが続く、あるいは痛みの場所がはっきりしない場合は、他の要因が影響している可能性も考えられます。
ここでは、虫歯以外に考えられる歯の痛みの原因をいくつか取り上げ、それぞれの特徴と注意点を解説します。
歯ぎしりや食いしばり
無意識に歯を強く噛みしめる食いしばりや、寝ている間の歯ぎしりは、歯に過剰な圧力をかけ、痛みや違和感を引き起こす原因になります。特に、朝起きたときに痛みを感じる場合、このような習慣が疑われます。
歯の表面がすり減ったり、歯根が圧迫されたりすることで痛みが発生する場合があり、マウスピースによる保護が勧められます。
歯周病
歯ぐきの腫れや出血、歯がグラグラするような症状がある場合は、虫歯ではなく、歯周病が進行しているかもしれません。歯周病は歯を支える組織が炎症を起こす病気で、歯そのものではなく歯ぐきや骨に痛みが現れます。
放置すると歯が抜けるリスクもあるため、早めに治療することが大切です。
副鼻腔炎
上あごの奥歯が痛む場合、副鼻腔炎が関係している可能性もあります。副鼻腔に炎症があると、その周囲の神経が圧迫されて歯の痛みとして感じられることがあります。歯に異常が見られないのに痛みが続く場合は、耳鼻科の受診も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
知覚過敏
冷たいものを飲んだときや風が歯に当たったときに瞬間的な痛みを感じる場合、知覚過敏が疑われます。知覚過敏はエナメル質の摩耗や歯ぐきの後退により、象牙質が露出することで神経が刺激されやすくなる現象です。
虫歯と見分けがつきにくいこともありますが、継続的な痛みではなく、一時的な刺激に反応するのが特徴です。
顎関節症
口を開けたときに音がする、顎が痛む、口が開けづらいといった症状がある場合は、顎関節症の可能性があります。顎の筋肉や関節に問題があると、その痛みが歯にまで波及して感じられることがあります。
歯自体に問題がなくても違和感があるときは、顎の状態もチェックすることが重要です。
まとめ

虫歯による痛みで眠れない夜は非常につらく、精神的にも身体的にも大きな負担となります。夜間に痛みが強くなる理由には、血流や生活習慣などの要因が関係しており、虫歯が進行しているサインであることも少なくありません。
まずは市販薬や冷却、姿勢の工夫などで一時的に対処し、翌日にはできるだけ早く歯科医院を受診することが重要です。また、歯の痛みの原因は虫歯だけでなく、歯ぎしりや歯周病、副鼻腔炎など多岐にわたるため、痛みのタイプやタイミングを観察することも大切です。
適切な対処と早期の治療によって、痛みによる不眠から解放され、安心して眠れる日常を取り戻すことができるでしょう。
品川港南歯科・矯正歯科クリニックでは、痛みや施術時間を抑えながら自然な仕上がりの治療を目指しています。マウスピース矯正やセラミック治療、虫歯治療、ホワイトニングなどにも力を入れています。