インビザラインは、専用のマウスピースを使用した矯正治療です。インビザラインは、矯正治療に使用するマウスピースを自由に取り外すことができるのが特徴です。
しかし、マウスピースの着脱には手順があり、無理に装着したり外したりすると、マウスピースが壊れることがあります。また、日頃からのマウスピースのお手入れもお口の中を清潔に保つという意味ではとても大切です。
そこで今回は、マウスピースの着脱の方法とお手入れの仕方について説明したいと思います。
インビザラインを正しい方法で外さないと
インビザラインで使用されるマウスピースは、比較的柔軟性のある素材でできています。
しかし、無理やりマウスピースを外してしまうと、以下のようなさまざまなトラブルが生じます。
マウスピースの変形
マウスピースを正しい方法で外さないと、マウスピースが変形し、うまく装着できず、歯列からマウスピースが浮く可能性があります。この状態で無理に装着すると、歯に過剰な力が加わり、歯茎を痛める原因です。
また、場合によっては意図しない方向に力がかかり、歯が治療計画どおり動かず、治療期間が延びることがあります。
マウスピースの破損
マウスピースを無理に外すと、割れたり、ヒビが入ったりすることがあります。マウスピースが破損した場合は、装着を行わず歯科医院に相談しましょう。
アタッチメントの脱離
歯に加わる力を調節するために、歯の表面に突起をつけることがあり、これをアタッチメントといいます。間違った方法で外すと、このアタッチメントが取れることがあります。
以上のようにマウスピースを正しい方法で外さないと、これらのトラブルを引き起こす原因です。このようなトラブルを防ぐためにも、適切な着脱を行いましょう。
インビザラインの正しい装着方法
マウスピースを正しい方法で外さないことにより、さまざまなトラブルが生じることを説明しました。以下では、マウスピースの正しい装着方法を1〜3の手順で説明します。
1.マウスピースの上下を確認する
まず、マウスピースの上下を確認します。前歯が大きいマウスピースが上、小さい方が下です。上下を反対に装着すると、破損や変形の原因になるので注意が必要です。
2.マウスピースを歯列に密着させる
前歯から奥歯に向かって、マウスピースを指で押さえ、歯列に密着させます。マウスピースを歯列に合わせる際に、頬の内側をマウスピースに挟んでしまうことがあるので注意してください。
マウスピース治療を開始して慣れるまでは、鏡で確認しながら行いましょう。
3.マウスピースを歯列に装着する
マウスピースを装着するときに噛んで装着すると、マウスピースが割れる可能性があります。そのため、アライナーチューイというシリコンゴムでできたロールを噛み、マウスピースをはめるのがよいです。特に、前歯の部分はマウスピースが浮きやすいので、しっかり装着しましょう。
なお、マウスピースを装着すると多少の圧迫感がありますが、きちんと装着されているという証拠なので心配いりません。
インビザラインの正しい外し方
次に、マウスピースの外し方について説明します。
上を外す場合
上のマウスピースを外すときは、基本的に左右どちらかの奥の内側から外します。外す際は、マウスピースと歯の境目に指を引っ掛け、下に向かって押し出すとマウスピースが浮いてきます。反対側の奥も同じようにして、外しましょう。
両方の奥を外したあとは、前歯の部分を下に引っ張るとマウスピースが外れます。
下を外す場合
上のマウスピースを外したときと同様に左右どちらかの奥の内側から上に押し出すように外します。外したあとは、前歯の部分を上に向かって引っ張るとマウスピースが外れます。
アタッチメントがある場合
アタッチメントがある場合も、上記のように奥の内側から前歯の部分を外すという手順で外します。奥の外側から外そうとすると、アタッチメントの脱離の原因になるので注意が必要です。
アタッチメントが引っかかって取りづらい場合は、マウスピースを広げるようにして取るとスムーズに外せます。
インビザラインを外すときのコツ
インビザラインを外すときのコツは、外す順番をきちんと守ることです。
先ほどの項目でも説明しましたが、マウスピースを外すときは奥の内側から手前に順に外します。着脱に慣れるためにも、まずはこの基本的な外し方をしっかりと身につけましょう。また、インビザラインを始めてしばらくの間は、鏡を見ながら着脱の練習を行うのがおすすめです。
どうしても外せないときは、アライナーリムーバーなどの専用の器具を用いて、マウスピースの内側にフックを引っかけて外しましょう。専用の器具を用いて外す際も、外す順番は両方の奥歯を外したあとに前歯の部分を外します。
インビザラインの正しいお手入れ方法
食事の際はマウスピースを外す必要があるため、食べ物などが付着することはありません。
しかし、インビザラインでは2週間ほど同じマウスピースを1日に20〜22時間以上装着する必要があります。細菌が増殖し、不衛生になる可能性があるため、日常からマウスピースを清掃し、清潔に保ちましょう
この項目では、マウスピースが汚れたり破損したりしないように、正しいお手入れについて説明したいと思います。
毎日水洗いをする
一番お手軽な清掃方法として、水道水で洗う方法があります。
洗うタイミングは、マウスピースを外す食事前から食事後が理想的です。難しい場合、最低でも1日1回は水洗いをしましょう。
柔らかい歯ブラシで優しく磨く
細かい汚れを落としたい場合は、歯ブラシを使用します。力を入れて磨くとマウスピースが傷つくので、毛先が柔らかい歯ブラシで優しく磨きましょう。
適切な洗浄剤を使用する
マウスピースをより清潔に保ちたい場合は、専用の洗浄剤を使用しましょう。洗浄剤を用いることで、水洗いだけでは落ちない汚れやニオイを取ることができます。洗浄剤は、マウスピースに対応したものを使用してください。
お湯での清掃は避ける
マウスピースは熱に弱いため、お湯洗いを行うとマウスピースが変形する可能性があります。そのため、40度以上のお湯を使った清掃は避けてください。
歯磨き粉は使用しない
歯磨き粉の中には、研磨剤(けんまざい)と呼ばれる歯の汚れを取るための成分が含まれています。そのため、歯磨き粉を使用すると研磨剤により、マウスピースに傷ができ汚れやすくなる原因になります。
よく乾燥させる
マウスピースの洗浄後、濡れたままで放置すると細菌が増え、においの原因になります。ティッシュなどを用いて、しっかりと乾燥させましょう。
専用のケースで保管する
マウスピースを外したあとは、そのままにしておくと紛失や破損するリスクがあります。ペットを飼っている方は、マウスピースを噛まれる可能性もあります。
このようなトラブルを防ぐためにも、外したあとは専用のケースに保管しましょう。
まとめ
今回は、インビザラインで使用するマウスピースの着脱方法について説明しました。
マウスピースは、歯列にピッタリと適合しているため、思うように脱着できないことがあります。また、マウスピースを無理に着脱すると、マウスピースが壊れる可能性があります。このようなトラブルを防ぐためにも、マウスピースは前から奥に装着し、外すときは奥の内側から外すことを心がけましょう。
また、インビザラインでは、同じマウスピースを2週間ほど長時間装着します。口の中を清潔に保つためにも、日頃からマウスピースのお手入れを行いましょう。