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歯ぎしりや食いしばり、ガミースマイルの改善など、歯科における治療の一環としてボツリヌストキシン注射が注目を集めています。
これまで美容医療の分野で広く知られていたボツリヌストキシン注射ですが、最近では歯科領域でもその効果が認識され、導入するクリニックが増えてきました。
なかには「どれくらいの費用がかかるのか?」といった料金面での不安を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、ボツリヌストキシン注射の値段について解説します。ボツリヌストキシン注射のメリットや注意点、費用を抑えるためのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ボツリヌストキシン注射とは?

ボツリヌストキシンとは、筋肉の動きを抑制する働きを持つタンパク質で、筋肉の過緊張を緩和する目的で使用されます。
歯科においては、主に歯ぎしり・食いしばりの緩和や顎関節症の症状軽減、咬筋肥大によるエラ張りの改善、ガミースマイルの調整などに活用されることが一般的です。
例えば、睡眠中の無意識な歯ぎしりは、歯のすり減りや顎への負担を引き起こすことがあります。ボツリヌストキシン注射によって咬筋の緊張をゆるめることで、これらの症状を和らげる効果が期待されます。
また、ガミースマイルにおいては、笑ったときに上唇が過度に上がる筋肉の動きを抑えることで、歯茎が見えすぎる状態を改善できます。
一般的な美容医療との違い
美容クリニックでのボツリヌストキシン注射は、表情ジワの改善や輪郭の調整が主な目的ですが、歯科領域での使用は機能改善が目的である点が異なります。
美容医療では見た目の美しさを重視しますが、歯科では咀嚼機能・顎の健康・歯の保護など、より医学的・治療的な目的が強調されます。もちろん、結果として見た目の改善にもつながる場合はありますが、主眼はあくまで症状の緩和や予防です。
また、美容医療と違い、歯科医師は口腔周辺の筋肉や骨格構造に精通しているため、より専門的な診断とアプローチが可能である点も特徴です。
歯科におけるボツリヌストキシン注射の値段

ここでは、実際にどれくらいの費用がかかるのかを具体的に見ていきましょう。歯科でのボツリヌストキシン注射の価格は、施術する部位や使用する薬剤の量、クリニックの立地などにより異なります。一般的な相場は、以下のとおりです。
・咬筋(エラ)への注射:3万円〜5万円程度
・ガミースマイルの改善:1万円〜3万円程度
・顎関節症の緩和:2万円〜5万円程度
これらは1回あたりの費用であり、効果はおよそ3〜6か月持続するとされています。複数回の施術が推奨されるケースもあるため、年間のトータルコストも事前に確認しておくことが大切です。
また、一部の歯科医院では複数部位を同時に施術することで割引が適用されることもあります。なお、ボツリヌストキシン注射は、基本的に自由診療となり、健康保険は適用されません。つまり、全額自己負担となります。
歯科におけるボツリヌストキシン注射の費用を抑えるためのポイント

高額になりがちな費用を、賢く抑えるための方法についてご紹介します。
安さだけで選ばない
ボツリヌストキシン注射は一見簡単そうに思えるかもしれませんが、顔や顎周辺の繊細な筋肉への施術であるため、高い専門性が求められます。そのため、安価なクリニックを安易に選ぶと、効果が不十分だったり副作用が出たりするリスクがあります。
価格が相場よりも著しく安い場合には、使用薬剤の品質や管理体制、施術者の資格・経験などを慎重に確認することが大切です。
費用を抑えたい気持ちは理解できますが、適正価格で質の高い施術を受けることが、長期的に見れば結果的にコストパフォーマンスが高い選択につながるでしょう。
無料カウンセリングを活用する
多くの歯科クリニックでは、ボツリヌストキシン注射の施術前に無料カウンセリングを実施しています。
この機会を利用することで、自分の悩みに対してどの部位への注射が最適なのか、費用はいくらかかるのかを具体的に知ることができます。また、実際の施術者と話をすることで、クリニックの雰囲気や対応も確認できます。
複数のクリニックでカウンセリングを受けて比較検討すれば、施術内容と費用のバランスが取れた最適な選択が可能になります。無理に契約を迫られることは少なく、気軽に相談できる場なので、情報収集としても有効です。
ボツリヌストキシン注射の流れ

初めてボツリヌストキシン注射を受ける方にとって、施術の流れをあらかじめ把握しておくことは安心材料となります。以下では、一般的な歯科医院におけるボツリヌストキシン注射の流れをご紹介します。
カウンセリングと診察
まずは患者さんの悩みや症状についてのカウンセリングが行われます。咬筋の発達具合や、ガミースマイルの程度、食いしばりの有無などを問診・視診・触診で確認し、必要に応じてレントゲンや咬合検査を実施します。
施術の目的や期待される効果、副作用などについても丁寧に説明され、納得したうえで同意書にサインを行います。
注射部位のマーキングと消毒
施術前には、注射を行う筋肉の位置や深さを正確に把握するために、歯科医師が触診や表情の動きを確認しながら注射ポイントを特定します。
ターゲットとなる筋肉の働きに応じてマーキングが行われ、その後アルコール綿などを用いて注射部位をしっかりと消毒します。衛生面を徹底することで感染リスクを最小限に抑えることができます。
ボツリヌストキシンの注入
極細の注射針を使用し、選定された筋肉に適量のボツリヌストキシンを注入します。施術時間はおおよそ5〜10分程度で完了することが多く、麻酔は不要な場合がほとんどです。注入時には軽いチクッとした痛みを感じることがありますが、強い痛みではありません。
術後の注意事項と経過観察
施術後はすぐに帰宅が可能ですが、当日は強く顔をこすったり、長時間うつぶせになったりすることは避けるよう指示されます。腫れや内出血が出る場合もありますが、数日で落ち着くことがほとんどです。
効果が現れるまでには2〜3日程度かかり、最大効果は1〜2週間後に感じられます。
ボツリヌストキシン注射のメリット

ボツリヌストキシン注射は、歯科における治療の一環として、多くの利点を持っています。
筋肉の働きを抑制して症状を改善できる
ボツリヌストキシンの最大の特長は、筋肉の過剰な動きを一時的に抑制できることです。
これにより、食いしばりや歯ぎしりによる歯の損耗や顎への負担を軽減でき、顎関節症の予防・改善にもつながります。また、ガミースマイルのような審美的な悩みに対しても、笑った際に歯茎が見えすぎる症状を自然な表情で改善することが可能です。
外科的な手術が必要ない
外科的な手術を伴わないため、身体への負担が少なく、短時間で施術が完了する点も魅力です。ダウンタイムもほとんどなく、施術後すぐに日常生活に戻れるため、忙しい方にも選ばれています。
ボツリヌストキシン注射の注意点

一方で、安全に施術を受けるために、注意しておきたいポイントもいくつかあります。
一時的に副作用が起こる可能性がある
施術後に内出血や腫れ、軽度の筋力低下などの副作用が見られることがあります。多くの場合は数日で改善しますが、稀に症状が長引くこともあるため、事前に説明をしっかり受けることが大切です。
また、注入位置によっては表情に違和感が生じる可能性もあるため、経験豊富な歯科医師を選ぶことが重要です。
効果を維持するためには定期的に施術が必要
ボツリヌストキシン注射の効果は永久的ではなく、一般的に3〜6か月ほどで徐々に効果が薄れていきます。そのため、持続的な効果を得るためには定期的な再施術が必要となります。
継続することで筋肉の活動が穏やかになり、症状の再発防止にもつながりますが、その分の費用計画も立てておく必要があります。
まとめ

歯科で行うボツリヌストキシン注射は、美容目的ではなく機能改善に重きを置いた医療行為として、歯ぎしり・食いしばり・ガミースマイルなどの悩みに対して有効な手段です。
ただし、施術は自由診療であり、薬剤の種類や部位、歯科医師の経験などによって価格に大きな差が生まれます。価格だけに惑わされず、施術者の技術力や使用薬剤の品質などを十分に確認することが重要です。
また、無料カウンセリングを活用して自分に合った治療法を見極めることが、後悔のない選択につながります。信頼できるクリニックで、自分の症状や希望に合った適切な治療を受けることで、口腔内の健康と快適な生活の実現が期待できます。
品川港南歯科・矯正歯科クリニックでは、痛みや施術時間を抑えながら自然な仕上がりの治療を目指しています。マウスピース矯正やセラミック治療、虫歯治療、ホワイトニングなどにも力を入れています。

