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子どもの歯茎の健康は、将来の歯の健康にも大きく影響します。中でも歯肉炎は、初期段階では痛みが少なく見過ごされやすいものの、放置すると歯周病へと進行する可能性もあるため、早期の発見と対策が重要です。
この記事では、子どもの歯肉炎の主な種類と特徴、治療法、そして家庭でできる予防対策について、わかりやすく解説します。お子さまの口腔健康を守るために、正しい知識を身につけましょう。
子どもでも歯肉炎になる?

歯茎のトラブルは大人になってから起こる、と考える方もいますが、子どもでも歯肉炎は十分に起こり得ます。成長期の子どもにも発生するケースは少なくありません。特に、小学校中学年〜高校生の思春期頃は、ホルモンバランスの変化により、歯茎が炎症を起こしやすい時期です。
歯茎が赤く腫れたり、歯磨きの際に出血したりする症状が見られることもあります。
子どもの歯肉炎の種類

子どもの歯肉炎と一口にいっても、原因や症状の特徴によっていくつかの種類に分けられます。それぞれの歯肉炎の特徴について解説します。
萌出性歯肉炎
萌出性歯肉炎は、歯が生えてくる過程で歯茎に起こる炎症です。乳歯や永久歯が生える時期に、歯茎が腫れたり赤くなったり、出血しやすい状態になることがあります。
歯が生えてくる時期は、歯茎が押されてわずかに傷がついたり、歯が一部だけ露出していることで汚れが溜まりやすくなったりすることがあります。十分なブラッシングができず汚れが残ることで、炎症を起こす場合があるのです。
萌出性歯肉炎の症状としては、歯茎の腫れや赤み、軽い痛み、出血などが挙げられます。基本的には歯が完全に生えると自然と改善されますが、悪化すると化膿したり、口臭が強くなったりすることもあります。
不潔性歯肉炎
不潔性歯肉炎は、歯磨きが不十分なために引き起こされる歯肉炎です。お子さまの場合、歯の生え替わりなどの影響で口内環境が変化しやすく、適切な歯磨きの方法も変わっていきます。このため、磨き残しが生じて不潔性歯肉炎になることがあります。
適切な口腔ケアを行えば改善することができるでしょう。
思春期性歯肉炎
小学校高学年から中学・高校初期にかけて、ホルモンバランスによって発生することが多い歯肉炎です。成長期にあるこの時期の女児に多く見られます。
女児はホルモンの影響を受けやすく、特にエストロゲンという女性ホルモンの分泌が増加する頃に歯茎が敏感になる傾向があります。このホルモンは歯茎の血流を促進し、腫れや出血を引き起こしやすくするのです。
侵襲性歯周炎
侵襲性歯周炎は、急速に進行する歯周炎で、主に10代の若年層に発症することが多いです。放置すると永久歯が抜け落ちる可能性があるため、早期に治療を始める必要があります。
子どもの歯肉炎の治療法

お子さまの歯茎が炎症を起こして赤く腫れたり、ズキズキと痛むことがあります。その状態のままにしておくと、炎症が進み日常生活にも支障をきたす恐れもあります。
ここでは、子どもの歯肉炎に対する治療法をご紹介します。
歯科医院でのクリーニング
歯肉炎の初期治療として、まず歯科医院ではプラークや軽度な歯石を徹底的に除去するプロフェッショナルクリーニングが行われます。専用の機器と器具を使用して、家庭での歯磨きでは落としきれない部分に蓄積した汚れまで丁寧に取り除きます。
これにより、炎症の原因となる細菌の温床を解消し、歯茎の健康な状態への早期回復を促すことができます。
お子さまの歯肉炎の場合、歯の生え変わりやホルモンバランスの変化などが原因になることが少なくありません。この場合、状況が落ち着けば自然と歯肉炎も改善していくことが多いため、特別な処置は行わないケースもあります。
ただし、口内を清潔に保つことは重要なので、クリーニングやブラッシング指導を実施しながら、経過を観察します。
ブラッシング指導
家庭で行うセルフケアがしっかりできるようにすることも、歯肉炎を改善するために欠かせません。歯科医院ではお子さま自身に丁寧なブラッシング指導が行われます。
スケーリング・ルートプレーニング
歯石が付着していて、それが歯肉炎の原因になっている場合は、スケーリングを実施します。スケーリングは、スケーラーと呼ばれる器具を用いて、歯石を丁寧に除去する処置です。
歯肉炎が進行して歯周ポケットが深くなっている場合、歯茎の奥深くに付着したプラークや歯石を専用の器具を使って除去するルートプレーニングが必要となることもあります。
歯周外科治療・抜歯
お子さまに実施することは多くありませんが、歯肉炎が重症化している場合は歯周外科治療を検討します。歯周ポケット内部の細菌を除去するためのフラップ手術や、歯肉炎によって破壊された歯周組織を再生させるための歯周組織再生療法を検討します。
また、歯周外科治療を行っても状態を改善できないと判断された場合は、抜歯を検討します。
子どもが歯肉炎になるのを防ぐには

子どもが歯肉炎になるのを防ぐためには、正しい歯磨きを習慣づけることが一番重要です。特に成長期の子どもは、歯並びが変化しやすく磨き残しが生じやすいため、歯磨き指導も活用すると良いでしょう。
ここでは、自宅で実践できるセルフケアから、保護者の方がサポートできる予防法までを具体的にご紹介します。
毎日のセルフケアを徹底する
歯肉炎の主な原因は、プラーク(歯垢)です。このプラークは、磨き残しの多い歯と歯茎の境目に蓄積します。そのため、歯と歯茎の境目に歯ブラシの毛先を45度ほどの角度で当てて動かすバス法というブラッシング方法を実践しましょう。
プラークを除去するためには、力任せに磨くのではなく、小刻みに動かすのがポイントです。歯ブラシは子どもの口に合ったサイズのものを選び、やわらかいものを使用しましょう。保護者の方が正しい方法をマスターし、鏡を見ながら教えてあげてください。就寝前にしっかりと歯垢を取り除き、プラークの蓄積を防ぎましょう。
歯みがきの回数は1日2回以上、朝と就寝前は必ず行うようにしてください。就寝中は唾液の分泌量が減少し、細菌が増殖しやすい環境になるため、夜は特に念入りに磨く必要があります。
生活リズムを整える
歯肉炎は、口腔内の環境だけでなく、生活全体のバランスにも影響されます。特に、夜更かしや不規則な食生活は、免疫力の低下や唾液の分泌の低下を招き、炎症を起こしやすくします。
また、ストレスは唾液の粘度や分泌量を変化させることがあるため、適度な運動やコミュニケーションによるストレス発散も重要です。栄養バランスの取れた食事と充分な睡眠を確保することで、歯茎の健康を間接的に守ることができるのです。
食生活を改善する
歯肉炎を予防するためには、食生活を改善することも大切です。歯茎に良い栄養素を摂取し、口腔内を清潔に保てる環境を整えられれば、歯肉炎を予防できるでしょう。栄養バランスの取れた食事を心がけ、ビタミンCやビタミンE、カルシウムが含まれた食品を摂取することが大切です。
ビタミンCは歯茎の健康を維持する効果が期待でき、免疫力を高める働きもあります。歯茎を健康に保ち、免疫力を高めることで、お口のトラブルを予防できるでしょう。
定期的に歯科医院を受診する
歯肉炎を予防するためには、保護者の方が子どもの歯茎の状態をよく観察するとともに、定期的に歯科医院を受診することも欠かせません。自宅でのケアに加えて歯科医院で専門的なケアを受けることで、より効果的に歯肉炎を予防できます。
歯科医院では、歯のクリーニングやブラッシング指導が受けられます。自宅でのケアでは取り除くことができない歯垢や歯石を丁寧に除去してもらえるでしょう。お子さまの年齢やお口の状態に合わせた歯磨き方法を身につけることで、歯肉炎の予防につながるでしょう。
まとめ

子どもでも、歯肉炎になることはあります。特に、ホルモンの変化や不十分なセルフケアが原因となって歯茎が腫れたり、出血したりするケースが多いです。
そのため、毎日丁寧に歯磨きし、歯と歯茎の境目や歯と歯の間の汚れを除去しましょう。自宅でのケアでは取り除けない汚れを除去するために、歯科医院でプロフェッショナルクリーニングを定期的に受けることが大切です。
品川港南歯科・矯正歯科クリニックでは、痛みや施術時間を抑えながら自然な仕上がりの治療を目指しています。マウスピース矯正やセラミック治療、虫歯治療、ホワイトニングなどにも力を入れています。

