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「インビザラインで歯科矯正をしたいけど、親知らずがある場合は必ず抜かなければいけないのか」「親知らずを抜くメリットやデメリットを知りたい」と思われている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、インビザライン治療で親知らずを抜くメリット・デメリット、親知らずを抜かなくてもいいケースなどについて解説しています。「インビザライン治療では必ず親知らずを抜くのか」「親知らずを抜かなくてもいいケースはあるのか」など疑問に思われている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
親知らずとは
親知らずとは、前歯から8番目に生える歯のことです。歯科の専門用語では「智歯」や「第3臼歯」といいます。親知らずが生えてくるのは大体20歳前後で、親が知らない間に生えてくることから親知らずといわれているそうです。
親知らずは全部で4本ですが、必ずすべて生えてくるとは限りません。2本だけ生えてきたり、歯の頭だけが見える程度に生えてきたり、さまざまな生え方をします。
歯が生えるスペースが足りないと、横に倒れるようなかたちで歯茎に対して並行に生えたり、斜めに生えたりして、歯や歯茎が圧迫される場合もよくあります。それによって歯に痛みが生じ、親知らずの抜歯に至るケースが多いです。
インビザライン治療で親知らずを抜くメリット
インビザライン治療で親知らずを抜くメリットは、主に以下の3つです。
・より確実にきれいな歯並びを手に入れられる
・歯並びのよい状態を長期的に維持しやすい
・虫歯や歯周病のリスクを下げられる
それぞれ順番に解説していきます。
より確実にきれいな歯並びを手に入れられる
インビザライン治療を行う際、親知らずを抜くことで歯を動かすためのスペースが十分に確保されるため、より確実にきれいな歯並びに矯正できます。もし、親知らずを抜かずに中途半端な矯正になってしまった場合、歯並びを調整するために予定よりも治療期間が長くなってしまう可能性もあります。
また、短期間で治療を終わらせたほうが、身体的にも経済的にも少ない負担で済ませられる点もメリットです。インビザライン治療において、できるだけ確実な方法できれいな歯並びを手に入れたいのであれば、親知らずを抜くことをおすすめします。歯科医師とよく相談して決めましょう。
歯並びのよい状態を長期的に維持しやすい
親知らずを抜いてからインビザライン治療を行うと、治療後のきれいな歯並びを長期間維持しやすくなります。なぜなら、広げた歯列が押し戻されて再び歯並びが悪くなってしまうことを防げるからです。
せっかくインビザライン治療できれいな歯並びに整ったとしても、中には親知らずがうしろからほかの歯を圧迫して、もとの歯並びに戻ってしまう場合があります。
親知らずが生えていても十分にスペースが確保されているのであれば、必ずしも抜歯する必要があるわけではありませんが、心配であれば抜歯しておいたほうが長期的にきれいな歯並びを維持できるでしょう。
虫歯や歯周病のリスクを下げられる
インビザライン治療の前に親知らずを抜いておくと、今後虫歯や歯周病になるリスクを下げられます。親知らずは、奥にあって歯ブラシが行き届きにくいため虫歯になりやすいですが、抜歯してしまえばそもそも歯がないため虫歯になる心配がありません。
人によっては斜めに生えた親知らずが歯茎にぶつかって腫れる場合がありますが、親知らずを抜歯すればこのような口腔内のトラブルも予防・改善できます。
インビザライン治療で親知らずを抜くデメリット
インビザライン治療で親知らずを抜くデメリットはほとんどありません。
しかし、親知らずの抜歯は歯茎を切開するなどの外科的な処置が必要になることがあるため、親知らずの抜歯に伴うリスクやデメリットはいくつかあります。インビザライン治療で親知らずを抜くデメリットは、主に以下の3つです。
・抜歯後に腫れたり痛みが続いたりする
・抜歯直後はいつも通りの食事を摂るのは難しい
・顎の中を通る神経を傷つけると麻痺などの症状が出る恐れがある
それぞれ解説していきます。
抜歯後に腫れたり痛みが続いたりする
親知らずの抜歯後は、抜歯した周辺の歯茎が腫れたり痛みが出たりする場合が多いです。抜歯をする際には歯茎に麻酔の注射をして痛みを緩和しますが、麻酔が切れてくると徐々に痛みが強くなります。
抜歯当日は、抜歯した部位からにじむような出血が続くこともあるため、ガーゼを噛んで圧迫止血する必要があるかもしれません。
抜歯直後はいつも通りの食事を摂るのは難しい
親知らずの抜歯後、数日はいつも通りの食事を摂るのは難しいでしょう。抜歯による痛みや腫れ、出血があるからです。特に、固い食べ物、辛い・酸っぱい・熱い・冷たいなど刺激の強い物を食べるのは困難になります。
ゼリーなどの柔らかい物を食べるか、抜歯した親知らずと反対側の歯で噛むようにするなどの工夫が必要です。
顎の中を通る神経を傷つけると麻痺などの症状が出る恐れがある
親知らずを抜く際に、誤って顎の中を通る神経を傷つけると、麻痺や痺れ、過度の痛み、呂律が回りにくくなるなどの症状が出ることがあります。顎には「下歯槽神経」や「オトガイ神経」といった神経が走行しており、抜歯の処置をする際に傷つけてしまうと神経の損傷が起こるのです。
神経を傷つけてしまう可能性は非常に低いですが、ゼロとはいえません。親知らず抜歯におけるリスクのひとつとして知っておいたほうがよいでしょう。
インビザライン治療では親知らずを抜いたほうがいいの?
インビザライン治療では、親知らずを抜いたほうがいいケースがほとんどです。
親知らずがまっすぐ生えていて、虫歯などのトラブルがなかったとしても、親知らずが邪魔になって歯を動かすためのスペースが十分に確保できない可能性があります。また、親知らずを抜かずにインビザライン治療を行い、きれいな歯並びになったとしても、親知らずが圧迫して乱れた歯並びに戻ってしまう恐れもあるのです。
インビザライン治療において、親知らずを抜くメリットは多いですが、それほど大きなデメリットはありません。せっかく治療をしたのに中途半端な状態に戻ってしまうのであれば、初めから親知らずを抜いて治療したほうが確実です。
親知らずを抜いてからインビザライン治療を行う場合は、治療が開始されるまでに時間がかかるため、早めに相談しておきましょう。
インビザライン治療で親知らずを抜いたほうがいいケース
インビザライン治療で親知らずを抜いたほうがいいケースは、主に以下の4つです。
・親知らずがぶつかって痛みや腫れを引き起こしている
・親知らずが虫歯になっている
・歯を動かすためのスペースが足りていない
・噛み合わせに影響が出ている
親知らずがまっすぐ適切な生え方をしていない場合、歯茎に痛みを感じたり、腫れて炎症を起こしたりすることがあります。そのような場合は、インビザライン治療をするか否かに関わらず、親知らずを抜いたほうがいいでしょう。
親知らずに虫歯がある場合も抜歯することをおすすめします。親知らずは、歯ブラシが行き届きにくいことから虫歯が再発しやすく、口腔内のトラブルを引き起こしやすいです。そのたびにつらい思いをすることになり、頻回に歯科医院に通わなければいけません。
また、歯を動かすスペースが不十分な場合は、親知らずを抜いて後方のスペースを確保する必要があります。
インビザライン治療で親知らずを抜かなくてもいいケース
逆に、インビザライン治療で親知らずを抜かなくてもいいケースは、主に以下の3つです。
・歯を動かすスペースが十分確保されている
・IPRでスペースを確保できる歯並びである
・親知らずの根っこがなく歯茎に埋まっている状態
歯を動かしたり、矯正後もそのままきれいな歯並びを維持できるくらい十分なスペースが確保されている場合は、親知らずが健康であれば抜く必要はありません。
しかし、きれいな歯並びを維持するためには親知らずを抜いたほうが確実です。
また、少しのスペースがあればきれいに矯正できるという場合であれば「IPR」という治療法を用いて、親知らずを抜かずにインビザライン治療を行うことができます。IPRとは歯の表面を少し削ってすき間を作ることで、スペースを確保する方法です。歯を削ると聞くと痛みが心配になるかもしれませんが、表面のエナメル質をごく少量やすりで削る程度であり、痛みを感じることはありません。
親知らずの根っこが形成されておらず、歯茎に埋まった状態の場合も、特に処置を要さず抜歯をせずにインビザライン治療を行えることがあります。歯の状態によっては根っこが形成されるのを待ってから抜歯しなければいけないケースもあるため、歯科医師の判断に従いましょう。
まとめ
本記事ではインビザライン治療で親知らずを抜くメリット・デメリットや、親知らずを抜いたほうがいいケース・抜かなくていいケースについて解説してきました。
親知らずを抜くかどうかは基本的に歯科医師の判断に従うのがよいでしょう。
しかし、治療を受けるのはあなた自身であり、決定するのもあなたです。歯科医師の説明をよく聞き、この記事で解説したメリットやデメリットを十分に理解したうえで治療方針を決めていきましょう。