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本来まっすぐ生えるはずの歯が、何らかの原因によってねじれて生えた歯を「捻転歯」といいます。ねじれて生えた歯は非常に目立つため、歯列矯正で治療する方が多いです。
今回は、捻転歯が生える原因や捻転歯を放置するリスクなどを解説します。捻転歯をインビザラインで治せるのかどうかもご紹介しますので、捻転歯に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
捻転歯とは
捻転歯とは、ねじれ歯ともいい、ねじれて生えている歯のことを指します。本来まっすぐ生えるはずの歯が、何らかの原因によってねじれて生えた状態です。顎の骨が小さく、歯がまっすぐに生える十分なスペースを確保できないことなどが原因として挙げられます。
捻転歯は特に上下の前歯に多く見られ、まっすぐに生えた歯と比べると非常に目立ちます。前歯が捻転した場合、歯並びの見た目を気にする人が多いです。見た目の問題以外にも、捻転歯を放置することで起こり得るリスクがあるため、可能であれば矯正治療を受けて改善したほうがよいでしょう。
捻転歯になる原因
本来ならまっすぐに生えるべき歯がねじれて生える原因は、以下のとおりです。
歯が生えるために必要なスペースが足りない
顎の骨が小さい場合、歯が並ぶスペースが足りず、永久歯がきれいに並べないことがあります。スペースが不足している場合、足りないスペースに歯を収めるためにねじれて生えることがあるのです。
永久歯に生え変わる頃のこどもの顎の骨は成長段階なので、永久歯が生えてきても十分に大きくなっていない場合があります。顎の骨が小さい場合は、歯列矯正で顎のスペースを広げることが可能です。
乳歯が長く残り永久歯が生えることができなかった
永久歯が生えてきたのに乳歯がなかなか抜けず、本来乳歯が抜けてから生えるはずの永久歯が、生えたままの乳歯を避けて無理やり生えることがあります。残っている乳歯を避けて生えるので、ねじれるのです。
乳歯がうまく抜けていない状態では、永久歯が捻転歯として生える確率が高まります。永久歯が生えてきているのに乳歯が残っている場合は、抜歯したほうがよいでしょう。
親知らずによって歯が押された
親知らずが横向きに90度ねじれて生える場合があります。ねじれて生えた親知らずが隣接する歯を押すことで、周囲の歯がねじれます。
捻転すると歯と歯の間に汚れが溜まりやすくなり、虫歯の原因になることも少なくありません。神経を刺激し、頭痛や顎関節症の原因になることもあるでしょう。
親知らずが周囲の歯に悪影響を与える場合は、一般的にねじれが原因であることが多いです。ねじれた親知らずによる問題は、親知らずを抜歯することで改善できます。
乳歯の虫歯が重度の炎症を起こした
乳歯の虫歯が進行すると、乳歯の根の先に膿が溜まる「根尖性歯周炎」になることがあります。根尖性歯周炎になっている状態で歯が生え変わると、永久歯は溜まった膿を避けて生えようとし、膿を避けようとした結果、歯がねじれることがあります。
「乳歯の虫歯は、生え変わるから放置してもよい」と考える方もいるかもしれません。永久歯に悪影響を与えるので、乳歯の虫歯だからと軽視せずに治療しましょう。
捻転歯を放置すると起こり得るリスク
捻転歯によるリスクは、審美性の低下だけではありません。捻転歯を放置するリスクは、以下のとおりです。
虫歯や歯周病の原因になる
捻転歯は、一部分が隣接する歯に極端に重なることが多いです。重なった部分は飲食物が詰まりやすく、念入りに歯磨きをしてもほかの歯よりも汚れが落としにくいでしょう。汚れが溜まると、虫歯や歯周病につながります。
細い歯ブラシで念入りに磨き、フロスを使用することで磨き残しは改善できますが、虫歯や歯周病のリスクを考えると矯正したほうがよいでしょう。
歯並びが悪くなる
きれいな歯は左右のバランスが整っていますが、まっすぐ生えている歯に捻転歯が混ざることで全体のバランスが崩れ、歯並びが悪くなります。きれいに並んでいるほかの歯に比べて捻転歯が目立ち、審美性が低下するでしょう。
特に、前歯が捻転すると非常に目立つので、コンプレックスに感じる方も多いです。人前で笑うことを避けるなど、コミュニケーションに支障が出る場合もあります。
ほかの歯に影響がある
ほかの歯がどんなにきれいに生えていても、捻転歯があることで噛み合わせのバランスが崩れることがあります。例えば、食事で歯を噛み合わせたときに、捻転歯の尖った部分が噛み合わせの部分に当たるケースです。本来当たるはずのない部分でも、捻転歯があると歯と歯が干渉して、正常に生えている歯が削れることがあるのです。
捻転歯が隣の歯に寄ることで、逆側の歯との間にすき間ができる場合もあります。捻転歯によって生まれたすき間に隣接する歯が倒れることで、さらに歯並びが乱れる可能性もあるでしょう。
捻転歯の存在が、ほかの歯を傷つけたり噛み合わせのバランスを崩したりするなど、悪影響を与えるのです。
インビザラインで捻転歯は治せる?
虫歯や歯周病のリスクが高まる捻転歯は、インビザラインで治療ができます。インビザラインだけで動かすことが難しい場合は、顎間ゴムを併用するなど工夫して動かます。
上顎の前歯部分のねじれは比較的治りやすいです。外側の歯になるにつれ、ねじれを取るのが難しくなるとされています。
インビザラインは、薄いプラスチックでできたマウスピース型の矯正装置で、患者さまの歯並びを考慮して作ったオーダーメイドのマウスピースを装着して歯を動かします。
透明なので、装着していてもあまり目立ちません。会話に支障が出ることもなく、食事や歯磨きの際に取り外せることも特徴でしょう。インビザラインは1日20~22時間以上の装着が推奨されており、食事や歯磨きのとき以外は基本的に装着して過ごします。
インビザラインで捻転歯を治療する場合の費用・期間
インビザラインの一般的な全体矯正は、装置にかかる費用も含めて1,000,000〜1,300,000円程度、治療期間は6か月〜2年程度です。
しかし、インビザラインは自費診療になるため、歯科医院によって費用が異なります。カウンセリング料、診察料、矯正料などは、一律ではないのです。
矯正したい捻転歯をはじめとする歯並びの乱れがどの程度かによって、使用するインビザラインの枚数が変動します。矯正に必要な期間も変化するため、矯正にかかる費用は患者さまによって大きく異なります。
詳しい費用を知りたい場合は、インビザライン治療を行っている歯科医院に相談するとよいでしょう。
まとめ
捻転歯は、前歯から親知らずまであらゆる歯で起こり得ます。捻転歯があると、噛み合わせや歯並びの悪さから虫歯や歯周病へとつながるでしょう。捻転歯を放置すると、虫歯や歯周病の原因になる、歯並びが悪くなる、ほかの健康な歯に影響を与えるなど、さまざまなリスクが発生します。
捻転歯はインビザラインでの矯正が可能であり、6か月〜2年程度で歯並びをきれいにできます。審美性が向上するだけでなく、噛み合わせの改善や歯磨きがしやすくなることから虫歯が減少するなど、多くのメリットが見込めるでしょう。
治療にかかる費用や期間は、患者さまの歯並びの状態で大きく変わります。インビザライン治療を行っている歯科医院のカウンセリングを受けて相談するとよいでしょう。